ごあいさつ

偕成社は1936年の創業です。はじめは子どもの本だけではなく文芸書や経済・歴史書も出版していましたが、戦後は子どもの本を専門とする出版社となりました。名前は「偕(とも)に成る」という意味をあらわし、読者とくに子どもたちの成長とともに自分たちも成熟していきたいという出版人としての思いが込められています。そして戦後日本の国が文化的にも豊かになる道のりと歩調をあわせて、たくさんの本を作ってきました。
子どもの本の大きな特長は、本としての生命がとても長いということで、今子どもを育てておられるお父さんお母さんがたも、本屋さんの店頭で「昔読んだ本がまだある!」という思いをされたことがあると思います。20年・30年という年月を超えて、それぞれの時代の子どもたちに同じように楽しんでもらえることが、子どもの本を作る私たちにとってなによりの喜びです。
子どもの本は、その人の未来に広がる奥深い本の森への入り口ですが、ただの読書入門編として大人になると忘れ去られるのではなく、人生の折にふれて読み返した時に励ましてくれる本が、必ずあるはずです。私たちの作った本のなかから、あなたにとってそうした一冊となる本を見つけていただけたら、これほど嬉しいことはありません。