



おつかいに行くキッコちゃんが見つけた不思議な館。そっとのぞいてみると、おめかしした動物たちがすてきなお茶会を開いていました。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
『もりの おくの おちゃかいへ』は、どこか遠いところに住んでいる、でもこの本を読んでくれる皆さんと同じくらいの年頃の女の子のお話です。キッコちゃんは初めて一人でおつかいに出かけ、そこで不思議な館に迷いこんでしまいます。
わたしが今も昔も大好きな絵本に、ウクライナ民話の『てぶくろ』という絵本があります。あったかく着込んだ動物たちや、ずっと夕方のような朝焼けのような空なんかを、寝る前に本を開いて見ていると、どこか遠い外国の冷たい空気を、おふとんの中で感じることができます。この絵本でも、そんなふうに冬のにおいが伝わればいいなと思っています。それから「このケーキおいしそう」とか、「こんなところに行ってみたい」なんてことでも感じてもらえたら嬉しいです。
ところでこのお話は、わたしが子どもの頃に体験したことが元になっています。まだ小さい時、近くのスーパーに家族で買いものにいって、迷子になったのです。父のグレーのスーツのうしろ姿についていったつもりが、ふりむくと違う人だったーーその瞬間の怖さは、子供時代の多くの思い出の中でも、とくに鮮烈に残っています。この本の見どころの一つは、そんな「怖さ」だと思います。迷子になる怖さ、知らない人にじっと見つめられる怖さ。わたしは、そういう緊張感を描くのが好きです。あのときのわたしが、どうやって家族に再会したのかは覚えていませんが、きっと陽気な動物たちが助けてくれたのでしょう。そんなわけで、キッコちゃんは私の小さい頃がモデルになっているのかもしれません(見た目は全然違いますが)。
それでは、この本を寒い冬の暖かいおふとん(またはこたつ)の中で読んでもらえますように!(みやこしあきこ)
新刊案内で見た表紙と動物たちがキッコちゃんを見つめる絵がとても温かく感じられてつい注文してしまいました。読んでみて、とても心がほんわかする物語で、どのページの絵も木炭画の中に一部だけ色が入っているのが効果的で好きだなと思いました。孫たちに読み聞かせするのが楽しみです。(5歳・おばあさまより)