とある村の山に暮らす、ひとりぼっちの子狐「ごん狐」。
いたずらっこのごんは、ある日いつもの出来心で、川で魚をとっていた兵十のびくからうなぎをとってしまいます。ところが、しばらくして、兵十のお母さんが亡くなったことを知ります。自分と同じくひとりになってしまった兵十。もしかしたら、あのうなぎをお母さんは最期に欲しがったのかもしれない……。
心を痛めたごんは、せめてもの償いにと、兵十のうちへ来る日も来る日も、栗やまつたけを届けにいきますが……。
新美南吉の名作の世界を、黒井健がうつくしく格調高い絵で再現した絵本。
1913年愛知県に生まれる。東京外国語学校英語部文科卒業。中学時代より文学に興味をもち、童話・童謡・詩・小説などを書き続ける。1943年没。その作品は民芸品的な美しさと親しみ深さを感じさせ、今も多くの人に愛されている。主な作品に「ごんぎつね」「てぶくろを買いに」「おじいさんのランプ」などがあり、全業績は『校定 新美南吉全集』(全12巻)に網羅されている。
1947年新潟県に生まれる。新潟大学教育学部中等美術科卒業。出版社勤務を経てイラストレーターとなる。主な絵本作品に『ごんぎつね』『手ぶくろ を買いに』『ミシシッピ』『雲の信号』『雲へ』『おかあさんの目』『かぜのひのころわん』など多数。 2003年に山梨県清里に「黒井健絵本ハウス」を開設。