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絵本紹介 | コラム

絵本のなかから歌がきこえてくる! うたがみえる きこえるよ

 カールの作品の中でもちょっと異色な、かつ、作者の魅力が惜しみなく表現されている作品。ほとんど文字のない絵本です。

 最初に登場するのは黒一色で描かれているバイオリニスト。ぺこりとおじぎをして演奏が始まります。すると、その奏でが色となり、しずくとなってはじけ出し、太陽や月に姿を変えます。そしてわたしたちをカラフルな海や地中の世界へと誘います。
 色たちが次々と自然の形あるものに変化していくさまは、人間も含めすべてがつながり、調和しあって生きていることを表現しているようです。最後の画面では、墨一色だったバイオリニストがさまざまな色で満たされ、音楽を越えて、芸術が人々に与えてくれる豊かさを感じさせます。

 鮮やかな色彩から音楽を想像して、その音楽からまた色を想像する……あなたなら、この本と一緒にどんな音楽をきくのでしょうか?
 ちなみに、カールは講演会でこの本を紹介するとき、モーツァルトの作品K.203※の旋律にあわせてページをめくるそうです。でも、モーツァルトを聴く前に一度自分の音楽をみつけてみてくださいね!

※セレナード第4番・ニ長調K.203のなかのメヌエット・ヘ長調