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絵本紹介 | コラム

いろんな動物のいいとこ取りをしたら……幸せになれる? ごちゃまぜカメレオン

 カメレオンといえば、まわりに合わせて身体の色を変えられるという、なかなか魅力的な特徴を持った生き物です。でも、この絵本の主人公のカメレオンは、(私たちの誰しもがそうであるように)それではどうも満足できない欲ばりさんでした。

 ある日、動物園をみたカメレオン。色ばかりでなく、さまざまな特徴をもった動物たちがすっかりうらやましくなります。

「ほっきょくぐまみたいに、大きくて はいいろだったら いいのになあ。」

 すると、たちまち身体が大きく灰色になりました!
ところが、それでも幸せな気持ちになりません。

「フラミンゴみたいに かっこよかったら いいのになあ。」

 なんと! 今度はピンクの翼と長い足が生えてきました!

 こんなふうにほかの動物の「いいところ」がほしいとつぶやくと、なんとその願いはすべてかなえられ……とうとうカメレオンはすっかりごちゃまぜの姿に(もはや元は何の生き物だったのかわからないくらいに!)。憧れの姿になったのはいいものの、あまりにいろんなものがついた身体では、食べ物もとれなくなってしまいます。

 ページをめくるたび、滑稽になっていくカメレオンに、最初はクスクス、ぷぷぷ、なんて控えめにしていた子も、だんだんお腹から笑いがこみあげてくる、ゆかいな1冊です。