絵本紹介 | コラム
虫の音がきこえる 秋に読みたい1冊 だんまりこおろぎ
ぽかぽかとあたたかいある日、ぽっこり! こおろぎぼうやがうまれました。「ころころ・りりり‥‥げんきにうまれて おめでとう!」最初に出会ったおおきなこおろぎが、はねをこすってあいさつをしてくれました。こおろぎぼうやもあいさつしようとしますが……
ちいさな はねを こし・こし・こし
でも あらら
おとが でないよ
うたえない
そのあとも、かまきり、まるはなばち、とんぼなど、たくさんの生き物たちがあいさつをしてくれます。「きち・きち・ばたたたた‥‥おはようさん!」「かさこそ ぐいぐい‥‥おう! げんきかい」。でも、こおろぎぼうやはやっぱり「おとが でないよ うたえない」。
見開きごとにくりかえされる、この「おとが でないよ うたえない」の分だけ、はねを「こし・こし・こし」とこすってみるこおろぎぼうや。読者がすっかりおなじみの言葉として口ずさみはじめたころ、ようやく、きれいなうたごえを聴かせてくれます。
音が実際に鳴るしかけがうれしい、秋に読みたい絵本です。