

はじまりは、取り壊しが決まった柴野崎小学校の図書館に渉(わたる)が忍び込んだことからだった。
小学校6年生の渉は柴野崎小学校の図書館からシバノザキ島にワープしてしまう。島は一年前の大きな地震と嵐であちらこちらが崩壊し、島民は気持ちの悪い生き物に怯えながら生きていた。しかもこの島にはその昔、渉の大おじさんがくらしていたらしい。
島の少女サキとであい、さまざまな危険にあいながら行動をともにし、渉は仲間たちと島を救おうとする。大長編ファンタジー。
『図書館からの冒険』について
岡田 淳
この物語の主人公は六年生の渉です。五年生まで通っていた柴野崎小学校が三月に廃校になってしまいます。柴野崎小学校には、昔の卒業生が寄付した図書館(双葉館)が建っています。五月の連休明けには、その図書館も校舎も解体される予定です。大好きだった図書館なので、渉は壊される前に忍び込んで、ひと晩を過ごすというささやかな冒険をしようとします。が、思わぬことからもっと大きな冒険にまきこまれていきます。図書館にはもうひとつの世界へ続く通路があったのです。
小学校にもうひとつの世界につながる通路があるという設定は『森の石と空飛ぶ船』『夜の小学校で』『カメレオンのレオン』『小学校の秘密の通路』と同じです。これらの物語は、同じ世界観で、はじまりはすべて桜若葉小学校でした。
『図書館からの冒険』の舞台は柴野崎小学校で、この小学校は桜若葉小学校とちがい、廃校になっています。
柴野崎小学校のヒントになったのは、大阪梅田の商店街に正門があった曾根崎小学校です。双葉館という図書館のモデルは、滋賀県にあるヴォーリズ設計の旧水口(みなくち)図書館です。
岡田淳さんの作品で、桜若葉小学校が舞台になっている作品は?という問いに答えられるあなた。あなたはかなりの岡田淳ファンです。岡田淳さんはこれまで、『カメレオンのレオン』『小学校の秘密の通路』『夜の小学校で』『森の石と空とぶ船』の4作品で、「桜若葉小学校」を舞台にしています。桜若葉小学校には大きなクスノキがあり、そこから向こうの世界に行き来できるのです。『森の石と空飛ぶ船』は、桜若葉小学校と繋がっている別世界サクラワカバ島が舞台です。
いつも新刊を楽しみにしています。今回もまたまた「むこうの世界」での冒険でとても面白かったです。本当の「ゆたかになる」とはどういったことなのか、深く考えるきっかけになりました。日本や地球はシバノサキ島のようになってしまうと怖いです。今の暮らしはゆたかなのかな…?と思います。(14歳)
岡田淳さんの新刊をとっても楽しみにしていました。表紙をみたときに『森の石と空飛ぶ船』の続きかな?と思っていたけれど、読んでみるとにたようなお話でとてもワクワクしました。絵もとってもすてきで大好きな本になりました。「カメレオンのレオン」シリーズのつづきがよみたいです。(12歳)
いつも新刊楽しみにして待っています。初めて岡田さんの本を読んだのは小学校3年生のとき。約5年が経ち、読む本やジャンルも変わりましたが、いつ読んでも”やっぱりおもしろいな”と思います。そしてこれからも岡田さんの本を読んで”やっぱりおもしろいな”と思いながら過ごしていくと思います。さし絵もいつみてもホッとするような優しさと可愛さがあふれ出ています。大好きです。この本はなんとなく地球の環境や未来とも重なる部分があると思います。大人になってからも読みたいです。(14歳)
単行本の300頁目、おしまいの7行。胸にぐっとくるものがありました。とっても気持ちのいいラスト。次の頁のイラストを見ながら、目頭が熱くなりました。著者の岡田淳さん、さし絵がうまいですねぇ。先日読んだ舟崎克彦さんの絵も雰囲気が良くて素敵だなって思ったんだけど、岡田淳さんの絵もいいっすね。本の最初のほうにある「おもな登場人物」のさし絵とか、「シバノザキ島」のさし絵とか、何度もくり返し見て、親しみがわいてきたもの。先へ先へと頁をめくらずにはいられないファンタジーだったなぁ。面白かったあ!(57歳・男性)