川と町のあいだの森。くずれた崖の奥底で、黒いたまごから、がろあむしの赤ちゃんが生まれた。がろあむしは、まっくらな世界をかけまわり、小さな生き物たちを食べて大きくなる。ときに襲われてボロボロになりながらも、生きるために走りつづける。
やがて大きくなると、オスと出会い、たまごを産む。しかしある日、がろあむしは燃えるように赤い体とともに、その一生を終える。だれも知らない地下の暗黒世界で、ひとつのドラマが終わったとき、町は――
地下の暗黒世界に広がる宇宙と、そこに生きる小さな虫の大きな一生。そして、おなじ地平で変わりゆく人間たちの社会を濃密に描き出した怪作。『つちはんみょう』で小学館児童出版文化賞を受賞した著者が、取材に約10年を費やした渾身の絵本。
受賞歴:
光の差さない土の中の世界の様子が生き生きと描かれていて、一気に読みました。普段、虫が苦手な子どもも集中して耳を傾けていました。(2歳・女の子のお母さまより)
舘野さんの本の大ファンです。がろあむしは8年という時間を虫と人のスケールをクロスさせながら描いていて圧倒されました。地下世界をなまなましく体験させる絵の力がとにかくすごいです。人間のすぐ近くにあるのに全く知らなかった世界に目を聞かされました。(がろあむしじたいも知りませんでした。)虫の解説もとても面白く知ることができました。これからもすばらしい作品を期待しています。(50代・女性)
表紙を見せただけで、悲鳴があがる絵本です。乳児を育てている若いママは「これ空想の物語ですよね」と言いました。いろんな年代のいろんな人に出会ってほしい絵本です。わたしたちが全く知らなかった、ファンタジーのようなで徹底的にリアルな世界がここにある。ただならぬ気迫を感じます。(40代)
私は数学を学んだので、ガロアというとあの天才エヴァリスト・ガロアを思い出します。その名前にひかれて、朝日の池沢夏樹さんの評を読み本書を購入しました。感動しました。どんな生命にもその命なりの広大な宇宙があり、その中で命は必死に生き続けていくのですね。いい絵本ありがとうございました。(70代)
もともと自然観察や虫には興味があり、それを知っていた知人が舘野鴻さんと一寸木はじめさんの対談がある事を教えてくれた。そこで見たのがこの絵本だった。正直、絵本なので子供の…と思っていたら自分の概念をひっくり返された。自分は人間だから上から虫を見ていたが、この絵本は下から人間を通り越し、もっと広い視野で見られていた。一度では分からず、何度も読み、観返す本となった。虫や背景の絵を書くのに想像力を絶する時間が掛かったと思う。他にもつちはんみょうやギフチョウなどがあり、私が今まで見ていた図鑑よりも何度も観返す絵本となった。(60代)