



大きなお城で寂しく暮らしていた小さな王さまは、大きなお姫さまと結婚して、世界が一変! 気鋭の人気作家が描くハッピーな物語。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
ここで、まず最初にお話ししたいことは、「この絵本を作って楽しかった!!」ということです。表紙や見返しのデザイン、1ページごとの絵はもちろん、構図、コラージュ、そして、こだわった黒色に特色をつかった鮮やかな印刷。また、本ができあがってから趣味で作りはじめた〈ちいさなおうさま等身大の木製人形〉まで、たいへんだったけれど、どこをとっても、とても充実した楽しい時間でした。ぜひ、本屋さんで手にとって、中を見ていただけたらと思うのです。
今から2年くらいまえ、娘を寝かしつけるために絵本を読んだ後のこと。娘が「なにかおはなしして」といいだしたのです。いつもそんなときは桃太郎をベースにしたお話を即興で作るのだけれど、桃が出てきた段階で、「そうじゃなくて、パパが考えた、お・は・な・し!」といわれてしまった。正直、もう眠いし、なにか考えるのは面倒なのだが、娘はまだ寝そうもない。しかたなく適当に話しはじめたのが、この絵本『ちいさなおうさま』でした。話をしている途中から、「これは、なかなかいいな!」と自分でも感心してしまい、少し興奮したことを憶えています。
では、この絵本がどんな内容かというと、孤独な王様が結婚し、子どもに恵まれ、家族を持ったことで人生が一変するというシンプルなお話。人間の営みとは何か、と削って削っていくと、きっとこんな“家族”の存在がのこるのではないかと思うのです。
もちろん、ぼくも家族の存在に支えられて生きていると実感していますし、それは結婚して子どもが生まれたことで、より強く感じることができるようになりました。
この本を読んだお父さん、お母さん、子どもたちに、家族の存在のすばらしさをあらためて感じていただけるとうれしいです。(三浦太郎)