取材日記

取材こぼればなし

2015/12/21

きょうの取材日記は、「キューバ」の八木虎造さんが再登場です(取材日記、1回目はこちら、2回目はこちらです)。謎めいた、でも楽しそうなキューバのくらし。こぼればなしをどどっと紹介します!

キューバの子どもたちに「世界のともだち」が大人気!

撮影を交渉するときの参考になればと思い、「世界のともだち」シリーズから3冊ほど持って行きました。行く先々で子どもたちから「その本見せてー!」と声がかかります。本を出すと、子どもたちが一瞬にしてどっと集まり、1冊をかこんでわいわい言いながら、みんな目を輝かせて見ていました。文章は日本語で書かれているので、読むことはできないのですが、そんなことは全く関係ないといった感じで「同じ勉強してる!」「お昼ご飯おいしそう!」と、写真を見ながら大興奮。写真がたくさんのった本がめずらしかったというのもありますが、キューバでは外国に住む人の生活を知る機会も少ないので、すごく新鮮だったのだと思います。

クリスマスと大晦日のごちそう

キューバでは、クリスマスには七面鳥を、大晦日には豚を食べます。なんと、どちらも生きたまま買ってきて、それを絞めて食べるのです。今回のキューバ取材で、いちばん衝撃を受けた光景でもありました。主人公のエリオくらいの年齢になると、男の子は大人たちから絞め方を教わり、数回こなすと、ひとりで最初から最後までできるようになるそうです。「血がたくさん出たり、鳴き声が悲しげだったりするの、怖くないの?」と子どもたちに聞いても、恐怖感は全くないようす。それよりも大人への階段をのぼっているという実感からか、みんな誇らしげです。クリスマスや大晦日の朝から、親せきや友人たちと集まって七面鳥や豚を絞め、薪を集めて火を起こし、じっくりと何時間もかけて丸焼きにして、夜になってやっと食べられるようになる、その行事にちゃんと参加できているという達成感があるのでしょう。


キューバおしゃれ事情

キューバにはおしゃれな人がたくさんいます。国全体が物資不足ということもあり、簡単にはおしゃれ道具を手にすることはできません。お店にマニュキアの新製品が入った日などは、口コミでそれを知ったたくさんの女性たちが押しかけ、1日かけて並んだりもします。ただし、商品の数が非常に少なく手にできる人はほんのひと握り。買うことができた人からそのマニュキアを借りてきて使わせてもらったり、お互い塗りあったりします。髪の毛も、カットをするだけでなく、パーマをあてたり、カラーリングをしたりする人がたくさんいます。卵1パックの料金と同じくらいの安い金額でやってもらえることもあり、美容院はいつもお客さんでいっぱいです。

ダンス・ダンス・ダンス

僕には、キューバの人たちはダンスがうまい、という勝手なイメージがありました。実際に行ってみると、ほんとうにみんな上手。なにか良いことがあると、すぐ踊りだすのです。それもひとりひとり微妙に違うステップを踏んでいます。きっと子どものころから学校で教わっているんだろうなと思って聞いてみたのですが、学校でダンスの時間があるわけではないそう。みんな家族や近所の人から教わるんだとか。キューバの人たちはことあるごとにパーティをします。誕生日などの記念日はもちろんのこと、ただただ人がたくさん集まっただけでも、パーティがはじまります。みんなでご飯を食べ、大音量の音楽にのって踊り続けます。そのとき子どもたちは大人からダンスのステップを教わるのです。



(写真・文 八木虎造)

世界のともだち㉗『キューバ 野球の国のエリオ』、くわしくはこちらをどうぞ!

 

八木虎造

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1974年、東京都大田区生まれ。野球をはじめたのは5才のとき。小学生のころの夢は、プロ野球選手か天文学者になること。中学生のころにみた、スポーツ写真に感動してカメラマンを志す。24才でプロカメラマンになり、30才からイタリア、リトアニアで野球選手としてプレーし、キューバにも野球留学した。右投げ右打ち、捕手。著書に『イタリアでうっかりプロ野球選手になっちゃいました』(小学館)がある。

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