円熟期を迎え、さらに深く、さらに豊かな世界を広げる花の詩画。2003年までの詩画59点と近況を伝えるエッセイ24編を収録。
1946年、群馬県勢多郡東村(現みどり市東町)に生まれる。群馬大学教育学部卒業後、中学校教諭になるが、クラブ活動の指導中に頸髄を損傷、手足の自由を失う。
入院中、口に筆をくわえて文や絵を書き始める。1979年、前橋で最初の作品展を開催。以後、国内外で「花の詩画展」を開く。1991年、村立・富弘美術館が開館。2005年、新・富弘美術館開館。入館者が五百万人を突破。2006年、群馬県名誉県民として顕彰される。2010年、富弘美術館開館二十周年。現在も詩画や随筆の創作を続けながら、全国で「花の詩画展」を開いている。著書に『新版 愛、深き淵より。』『新編 風の旅』『風の詩』『銀色のあしあと』『たった一度の人生だから』(日野原重明氏との対談)『かぎりなくやさしい花々』『鈴の鳴る道』『速さのちがう時計』『あなたの手のひら』『花よりも小さく』『山の向こうの美術館』など。
★刊行時に寄せられたメッセージです
花をみていると、その色、その形の美しさに驚かされることばかりだった。花には一つとして余分なものがなく、足らないものもないような気がした。
ちょうど良いところに花がつき、ほどよいところに葉があり、
葉と花に似合った太さの茎があった。
葉は花の色を助け、花は葉の色と形をそこなわずに咲いていて、
一枝の花とはいえ広大な自然の風景をみる思いだった。
私は絵に関しての知識はないけれど、この自然の花をそのまま写してゆけば、良い絵が描けると思った。(星野富弘)
★刊行時のメッセージです
ここ数年の星野さんは、たいへんお元気で、ハワイ、サンフランシスコで開催された詩画展にも出かけられ、日本各地で次々と開かれる原画展では、ユーモアあふれる挨拶をされて会場を沸かせました。
繊細で優しい花の絵、心の奥底に響く詩をかかれる星野さんですが、お目にかかると、シャレがつぎつぎと飛び出す闊達な人柄で、強烈な魅力をもっていらっしゃいます。
新刊「花よりも小さく」にはそんな星野さんの一面があちらこちらに感じられて、今までとは一味違った詩画集になりました。