孤児として生まれ、オリバー・ツイストと名付けられ、少年になるまでにさまざまな辛酸をなめたにもかかわらず、まっすぐな心を失わない少年は、孤児院を脱走、ひもじさに耐え、ロンドンにたどり着く。しかしオリバーがめぐりあったドジャー少年の紹介で身を寄せることになったのは、フェイギン老人に率いられた未成年スリ軍団の巣窟だった。未成年スリ軍団にはオリバーにやさしいナンシーもいたが、スリや盗みを強要され、拒んだオリバーは傷つき、運命の糸に導かれて、自分を産み落とし非業の死を遂げた母親の縁者とそれとは知らずに暮らすようになる。一方、オリバーを助けたスリ仲間のナンシーは乱暴者のビル・サイクスになじられ……。
【目次】
第28章 オリバー・ツイストのその後
第29章 オリバーが身を寄せた家の住人について
第30章 新たにオリバーを見にきた人たちの反応
第31章 深刻な状況
第32章 オリバーはやさしい人たちにかこまれて幸せな生活を始める
第33章 オリバーたちの幸せな日々がとつぜん終わりをむかえる
第34章 新たに登場する若紳士の紹介とオリバーが出会った新たな冒険
第35章 オリバーの冒険の不本意な結末とハリー・メイリーとローズの間でかわされた重要な会話について
第36章 それ自体さほど重要には見えないような短い章。とはいえ、前章の続きとして、そしていずれ先につながるものとして読むべき章
第37章 結婚生活によくある光と陰を描く章
第38章 バンブル夫妻とモンクス氏との夜の密談
第39章 読者がすでにご存じのごりっぱな人物たちの再登場、そしてモンクスとフェイギンの頭をつきあわせての相談ごと
第40章 前章につづくきみょうな面会のようす
第41章 新発見、そして不幸と同じようにおどろくべきできごともかさなってやってくること
第42章 オリバーの昔の知り合いが、がぜん才能を発揮して、大都会の有名人となる
第43章 アートフル・ドジャーの失態
第44章 ナンシーがローズ・メイリーとの約束を果たすべきときが到来し、その遂行に失敗する
第45章 ノア・クレイポールがフェイギンから秘密の偵察をおおせつかる
第46章 果たされた約束
第47章 運命の結末
第48章 サイクスの逃亡
第49章 モンクスとブラウンロウ氏がついに顔を合わせ、話をしているときにとびこんできた知らせ
第50章 大捕り物
第51章 複数の謎が解きあかされ、財産や生活費に関する取り決めのない結婚の申し入れがなされる
第52章 フェイギンが生きてむかえた最後の夜
第53章 結末
19世紀イギリスで活躍した小説の神様チャールズ・ディケンズの不朽の名作『オリバー・ツイスト』を新たなる完訳でお届けいたします。
『オリバー・ツイスト』はストーリーの展開がみごとで、しかもさまざまな階級の登場人物が書き分けられており、ディケンズの小説の中でもとりわけ映画化や舞台化の多い作品です。
翻訳は斎藤兆史先生と山本史郎先生。英語に堪能なだけでなく、美しく正確な日本語への翻訳家としても知られているご両人です。苦難の連続の中でのオリバー少年が成長する姿にエールを送りたくなることでしょう。新たなる完訳でお楽しみください。