「おねがいしますっ!」
針を持ってた手をひしとつかまれ、「ひぃ」って小さな悲鳴がのどからもれた。
「助けてください!」
ケガでサッカー部の練習を休んでいた針宮優人は、
クラスメイトの糸井さんによって、強引に被服部の助っ人にされてしまう。
被服部にいたのは、空気を読まない糸井さん、明るく大胆なマスミン先パイ、男子は断固拒否(!)なサンカク先パイの3人だった。
じつは、裁縫が大好きで、得意だったことを見破られた優人は、文化発表会用のドレス作りにまきこまれていく。
ケガを心配して、復帰を待ってくれているサッカー仲間のカイトにはいいだせないまま、被服室に通ううち、優人は、手芸が大好きなのに、一方でそれをはずかしいと思う自分の気持ちにむきあっていく。
ほんとうに好きなことに正直になりたい、手芸男子ストーリー!
ひとにはいえないけど、大好きなものってありますか?
この本の主人公、針宮優人は、裁縫やかわいいものが大好きな手芸男子。しかし、それを隠してサッカー部に所属しています。
自分が好きなものを隠すのは辛い、でもそれを話したら、からかわれるかもしれない。揺れ動く優人は最後にどんな決断をするのでしょうか。
軽快なテンポと展開で、少年の揺れる気持ちを繊細に描いた作品です。