シャン州のインレという湖の上。ここで、10才のスミンミャがくらしています。水上にたてられた家から舟で市場へでかけたり、湖で浮き輪をつけて水浴びをしたり。湖上でくらす知恵が脈々と受けつがれてきたこの場所で、スミンミャは、湖の上の学校へ通い、放課後は塾で勉強をしています。スミンミャの将来の夢は、学校の先生。でも、お父さんは、「スミンミャは勉強がよくできるから、ヤンゴンのような都会にあるいい大学に入って、外国にでていけるような仕事についてほしい」と思っています。
ミャンマーの独特な服装や食文化も面白い1冊です。
将来友だちになるかもしれない、だれかの毎日。世界36か国で写真家が撮り下ろした、「世界のともだち」シリーズの26巻目。
1955年、熊本県水俣市生まれ。大正大学客員教授。早稲田大学などでも食文化を講じる。高校のころ、アメリカ人写真家ユージン・スミスと出会い、写真家を志す。国際基督教大学で文化人類学を学び、以後、アジアをはじめ、世界各地を歩き、写真、文章を新聞、雑誌に発表。おもな著書に、『食の冒険地図』、『世界の食事おもしろ図鑑ー食べて、歩いて、見た食文化』、『考える胃袋ー食文化探検紀行』、『料理することーその変容と社会性』、『食べもの記』、『手で食べる?』などがある。レシピ集なども執筆。
この本の取材を担当したカメラマン・森枝卓士さんは、30年前に出版した「世界のこどもたち」シリーズで、やはり『ビルマ』を担当されました(ミャンマーは当時、ビルマでした)。そのころ森枝さんは30代、若手のカメラマン。30年の時を経て、今回も同様の形で同じ国へ取材に行ったのですが、主人公をさがすのはなかなか困難だったようです。それでも、インレー湖という湖の上でくらす人たちを選んで取材をスタートし、主人公のスミンミャと出会いました。ミャンマーへ行ったことがある方、またインレー湖を訪ねたことがある方も、湖上の家のなかでの日常生活を見たことがある方は少ないのではないかと思います。ふつうの家族のくらしをのぞき見できるのは、このシリーズならではの楽しみです。 スミンミャ一家の、湖上の興味深い生活と、おいしそうな食べものがたくさんでてくる『世界のともだち ミャンマー』、ぜひ楽しんでください!