中国残留孤児の父・城戸幹の半生をつづった名作『あの戦争から遠く離れて』の著者が母となり、子へと家族の歴史を語りつぐ–––。
著者の父・城戸幹(きど・かん)は、敗戦後の混乱期、3歳で旧満州にひとり残された中国残留孤児。幹は優しい養母に大切に育てられながらも、やがて祖国への思いを強くし、文化大革命の真っ只中、日中国交正常化前の1970年に自力で日本への帰国を果たします。
本書は、その父の激動に満ちた半生をつづり、多くの賞に輝いた『あの戦争から遠く離れて』(2007年/情報センター出版局/現在は新潮文庫刊)を、あらたに子ども向けに書いた作品。
城戸家にとどまらず、日本人の誰しもが家族の歴史を遡れば必ず戦争の時代にたどりつきます。家族の物語を通して、若い世代へ、戦争とのかかわりを考えるきっかけを与える1冊。
受賞歴:
とても優しい温もりに包まれる読後感があり、我が子にも読んでもらいたい、と思いました。悲しいはずの史実ですが、青年は、なんと温かな人々に見守られて成長していったのか……と思うと涙が出てきました。国家間の「政治」というものさしではなく、人と人としての交流を大切にしたい、と願っています。羽尻利門さんの絵も優しくて良かったです。(40代)
本書をたいへん興味深く拝読させていただきました。『あの戦争から遠く離れて』で書かれたお父様の体験をご自身のお子様に伝える貴重な本だと感じました。戦争体験者が少なくなる中、戦争の記憶を次世代にどのように伝えてゆくか、という課題は、とても重要だと思います。(40代)