絵本「どうぶつさいばん」シリーズ、ノンフィクションで映画化もされた『子ぎつねヘレンがのこしたもの』などの作品で知られる竹田津実氏のフィクション。
街で家畜診療所の獣医師をしながら、森の近くの自宅でときどき自然の中の病んだ生きものの脈をとる仁科源三郎医師。運び込まれる野生動物は、野生にもどすことを目指して診ている。ある日子どもたちが、ふ化してまもないカルガモのヒナを4羽連れてきた。親ガモがちょっと出かけたすきに子ガモだけが残されているのを見て、連れてきてしまったのではないか? 「きみたちは誘かい犯だ!」と、一緒に拾ったところまで戻るが、時すでに遅し。親ガモは見つからない。人間の手でカモのヒナを育てるのは大変なこと。獣医師とて知らないこともあり、試行錯誤を繰り返しながら、子ガモを育てて、巣立ちをさせるまでを描く。柔らかなイラストに独特の魅力ある文章で、読者も一緒に子ガモを育てる気分にひたれる。
目次
誘かい犯がやってきた
患者にさせられた野生たち
大事件発生
やっぱりカモは浮きません
勉強、勉強、また勉強です
まねをしてかぜをひく話
助手をするという誘かい犯
生まれて初めての大旅行
初めて飛んだ日
旅立ち
「カモがおぼれています!」獣医師の奥さんの言葉にびっくり。
私は竹田津実さんの本が大好きで写真集から、文庫、一般本、DVDまでこれまで少しずつ先生の作品を見つけては買い足しています。動物・生き物に対する愛情の深さ、今の世の中での出来事と照らし合わせながら書かれている作品が大好きです。こういう本を子供達にも大人にもどんどん読んで欲しいと思います。そうしたら、もっと、人間も動物もうまく、生活して行けるのにと思うのです。(50代)