タヌキに育てられたお姫さま、まほろには秘密があります。頭に葉っぱをのせて、じゅもんをとなえて宙がえり。すると、あら不思議! 思ったものにばけられるのです。お屋敷の中でそのことを知っているのは、人間に化けていっしょに暮らしているタヌキの一家だけ。お父さんのおやかたさまも知りません。
そのおやかたさまが、大あわてで、まほろのところにやってきました。
「まほろ、まほろ。たいへんだ、一大事だよ!」
どうやら、おやしきに、都から有名な絵師がくることになったようです。
作者による挿し絵がたっぷり入った楽しい長編ファンタジー童話。
1958年生まれ。東京芸術大学卒業。児童書を中心に翻訳者として活躍するとともに、作家・画家として絵本や童話作品を手がけている。『かりんちゃんと十五人のおひなさま』で野間児童文芸賞、『天使のかいかた』で日本絵本賞読者賞、『どうぶつがすき』で日本絵本賞翻訳絵本賞を受賞。文章を書いた絵本に『おたすけこびと』、作絵の絵本や童話に『のはらひめ』『きょうりゅうのたまご』、翻訳絵本に『ちいさなあなたへ』「せかいでいちばんつよい国」などがある。