



定価(本体価格) | 1,200円+税 |
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偕成社在庫 | あり |
対象年齢 | 小学校中学年から |
ジャンル | 絵本 > 障がい者を理解する絵本 |
サイズ(判型) | 22cm×16cm |
ページ数 | 40ページ |
ISBN | 978-4-03-528470-3 |
NDC | 726 |
発売日 | 2015年1月 |
8歳のときに、アスペルガー症候群と告知を受けた著者が、「アスペルガーの心」(1)(2)では、自らを客観的にとらえ、アスペルガー症候群がどういったものかを明解に描きだした。それはみごとな自己分析だった。3巻目は、著者が敬愛する先生、らぶちゃんのことを、愛情たっぷりに表現したユニークな絵本。らぶちゃんは、どこかヘンだけれども、そのヘンなまま、まるごと愛しているといった熱烈なラブコール。これは著者が中学生のときの作品だが、前回の自己分析から、他者である「らぶちゃんのまんま」の姿を見つめ、受けとめるといった他者理解へと育っている。それはだれにとっても新しいつながりの可能性を感じることができるメッセージをもっているでしょう。
受賞歴:
(2024年12月24日更新)
フワリさんと妹のキラリさんが『教育と医学』という雑誌に寄稿した、現在の気持ちを転載します。 1作目の刊行から10年。フワリさんは、いま大学で勉強中です。アスペルガーの子どものための、とある専門医になりたいと語っています。子どもたちにとって強い味方になりそうですね。
発達障害と聞くと、マイナスなイメージをもつ人が少なくありません。しかしそれは、一つのアイデンティティと捉えることもできます。電車で何か変なことを言って、歩き回っている人を見たとします。おかしな人と捉える人もいるし、迷惑だから電車に乗らないでほしいと思う人もいると思います。しかし、その人の特性を知っている人からみると、この人は強い多動を持っている人なのか、何かの理由で困って混乱しているのかなと考えることができます。
これが知識です。知識をもっているだけで、一定数理解できる人が増えますし、何より差別という名の倫理的におかしなところを少しなくすことができます。その積み重ねが、人の心を理解するということに繋がるのではないかと思います。
この絵本が、少数派の人と、普通の人との架け橋になることを、願っています。
(フワリ 大学生)
一人一人苦手や得意があるということ、それは当たり前で、私もそう。みんなもそう。知らないとその苦手も得意も、怖かったり不思議かもしれない。でも「少数派の苦手」がある人がいることをまずは知って、共感でなくとも理解してくれる人が一人でも近くにいてくれたらスッと気持ちが軽くなるような気がします。
自閉症、アスペルガー、ADHDなど、最近は様々なSNSで発信され身近になってきたように感じますが、周りの人にはないような素敵な得意があることを忘れないでほしい。自分の得意や楽しいことで「四つ葉のクローバー」のように周りを幸せにしてくれる姉の姿を見ながらそう確信しています。
(キラリ 大学生)
フワリちゃん原稿 (絵も)「教育と医学」(慶應義塾大学出版会、2024年7・8月号より)
こんな先生が近所にいたらいいな。らぶちゃん先生に、きっと会いたくなります。自閉症スペクトラムしょうがいのひとつ、アスペルガー症候群は、やっぱり「しょうがい」ではなく、「個性」なのだと思います。