ゾウはなぜ首が短いか? トラの模様はたてじまか横じまか? など、画家で野生動物観察指導員の著者が語るとっておきの話44編。
1954年、宮城県仙台市に生まれる。漫画家村野守美氏に師事。グラフィックデザイン、アニメーションを経て、学習漫画家として活躍。また「自然保護運動図画工作執筆家」として、環境教育教材の開発・製作、動物専門学校やカルチャーセンターの講師も勤める。日本野生動物観察指導員、「ふくしまワイルドライフ市民&科学者フォーラム」クリエーター、富士市ファミリーパーク「21世紀の動物園展示を実践する」プロジェクトメンバー。著書に『小さな動物学者のための観察ブック』『哺乳類観察ブック』『クマは「クマッ」となく?!』『動物おもしろ基礎知識』『動物の足跡学入門』、共著に『コウモリ観察ブック』『クジラも海でおぼれるの?』『チンパンジーはいつか人間になるの?』など多数。
★刊行時に寄せられたメッセージです
真冬、畑に積もった雪の上に2頭のキツネが走り回った足跡がついている。意味もなく積み肥を飛び越えたり、急に立ち止まってみたり、2頭ともそれはそれは嬉しくてたまらないといった様子の足跡なのだ。この時期は、キツネの恋の季節だ!
10月下旬、タヌキの子別れの季節。
親ダヌキは子ダヌキに、突然噛みついたり、追いかけたり、子どもに辛くあたる。子ダヌキは何がなんだかわからずに逃げまどう。
きっと、親ダヌキは子どもの自立を願って、心を鬼にしてるんだろうなぁ……。
もちろん、こんなことは人間側の思いこみだ。でも、長いあいだ野生動物を観察していると、どうしたってそう考えてしまうようなシーンにも出くわす。
野生動物の観察や研究は、思いこみにとらわれずデータを取って数字にしたり、科学的に証明しなければならないことも大切なことだ。
でも僕は、野生動物を観察していて「なんだぁ、人間と同じなんだ」と思える事に出合うと、「人間も野生動物も、大きな法則の中で一緒に生きているんだなぁ」ということを感じることができて、奴らと同じ目線になれる。
野生動物保護は、奴らと同じ目線で、奴らが困っていることを同じ痛みとして感じることも必要なのではないだろうか?
この本はそんな願いを込めて書いた本だ! 文句なしに楽しめるので、ぜひ読んで下さい。(熊谷さとし)