ある日マリオは、ずっと考えていたことを思いきっておかあさんにたずねました。「ぼくたち、どうしてなくの?」
おかあさんは、どうしてなくのか、いくつものことを話してくれました。
かなしいとき、おこってなくこともある、じぶんのいるところがわからなくなったとき、だきしめてほしいとき、おとなになるためになくこともある、何時間さけんでも気がすまなくてなくことも……「なくこと」についてつづられた詩のようなシンプルな言葉のなかには、深い思いがかくれています。美しく魅力的な絵とのコラボレーションは、読む人にたくさんのことを思いおこさせてくれて、安心感をもらえるかもしれません。なくことはたいせつなこと。おしまいには、「なみだ」についての科学的知識も紹介されています。
◆著者のフラン・ピンタデーラさんによる、読み聞かせ動画(スペイン語)を公開中!
▶︎動画概要欄のコメント和訳
絵本『どうしてなくの?』
作:フラン・ピンタデーラ
絵:アナ・センデル
出版社:Akiara Books
語り手:フラン・ピンタデーラ
-新型コロナによるロックダウン期間中、スペイン教育省の依頼によりこの動画は制作されました。気持ちを考える絵本が世の中にあふれている中、ピンタデーラは涙を型にはめて説明するのではなく、詩のようなつづりで心の景色をすくいとります。 -
『どうしてなくの?』は、英語、フランス語、イタリア語、韓国語、日本語など、多くの言語に翻訳されています。
▶︎日本のみなさんへ
◎作者フラン・ピンタデーラさんからのメッセージ
「桜の谷」として知られる山のふもとに、ぼくは暮らしています。春になると、桜の花がその美しい色と形で、みんなを楽しませてくれます。そして、ぼくの住むこの小さな町と、遠くはなれた日本とでは、大切にしているものがよく似ています。美しくささやかなものに感動することです。みなさんの国で出版されたぼくのお話は、たくさんの桜の花のひとつのようです。シンプルなお話は世界共通にわかりあえます。
この本を読んで、種をまき、水やりをしてくれてありがとう。
◎画家アナ・センデルさんからのメッセージ
『どうしてなくの?』 のお話をいただいたとき、感情というのは人それぞれの生き方や感じ方が違うので、とてもデリケートなテーマだなと思いました。どんな絵をかいたらいい? ありきたりな場面やシンプルな自己啓発本に陥らないようにするには、どうしたらいい? でも、これこそ私がもとめていた本だったのです。この本はマニュアルのように感情を説明したり、分類してはいません。感情の線引きはあいまいで、いろんな気持ちが入りまじり、その深さは計りしれないのです。
このお話は、あらゆる可能性の扉をひらいてくれます。私たちはだれもがさまざまな理由で泣き、それにはどれも意味があります。この本には、泣いていいとき、泣いてはいけないときについて書かれているわけではありません。でも、なみだの味も感じ方も、どれひとつ同じではないことを理解する助けになるかもしれません。私が絵をかくのが好きなのと同じぐらい、みなさんに気に入ってもらえますように。
泣きたくてもがまんしていた。この絵本を読んだら涙があふれた。
私も子供の頃、どうしてなくの? と思っていました。自分では「泣かないようにしよう」「恥ずかしい」と思っているのに、勝手に涙がこぼれてしまう。子供の頃この絵本に出会って、お母さんに読んでもらっていたら「泣く」ことをがまんしなくて良いんだと思えたと感じました。最後のお母さんが泣いている理由のところがとても好きです。たくさんの親子に読んで貰いたい絵本だと思います。(50代・女性)
夜、寝かしつけの時によく読みます。「どうして涙の形が違うの?」といつも同じ所で質問されます。「隆介もこれからいろんな涙流していくうちに分かるだろーなあ」と言うと、「ふ〜ん」とニコニコいています。(5歳・お母さまより)
「それでもきっとなきたくて ただなきたくて なくときもあるはず それは すごく たいせつなことよ」の部分がとても好きで心に残っています。子どもも大人も何故だか言葉でいい表せないけど涙がでてくることがあると思います。それを大切なことと言ってもらえて心が安らぎます。(7歳・お母さま)
泣き虫な私、子育て中にしょっちゅう涙ぐむのですが、涙ぐむ理由を娘に説明できず、モヤモヤしていたのですが、この本で、「今こういう感情なんだよ〜」と説明できるようになりました! 涙の取説みたいで、助かっております!(4歳・お母さまより)