編集部より

世界の子どもたち21世紀版、刊行!

2013/12/03

「世界のともだち」シリーズは、偕成社の担当者のほかに、フリー編集者の島本脩二さんが編集を担当しています。シリーズの前身、「世界の子どもたち」(1986〜1989年刊行)にも参加されていた島本さんに、お話をききました。

「世界のともだち」シリーズには先行した企画がありました。1986年から3年をかけて刊行された「世界の子どもたち」全36巻です。私はそのとき編集を担当しました。

この企画の発端は写真家・橋口譲二さんでした。彼は当時、偕成社で仕事をしていて、子どもがはじめて外国に触れる写真絵本のアイデアを提案されました。それを偕成社の創業50年の記念出版に位置づけ、私に編集を依頼されたというのが経緯です。シリーズのデザインは坪内祝義(ときよし)さんが担当されました。

世界36か国の10才前後の「ふつうの」ひとりの子どもに着目し、写真家を派遣して家庭生活、学校生活、地域生活を撮ってもらい、40ページの写真絵本にしようというのが企画の軸でした。衣、食、住と移動という人間の基本的な営みを通して、はじめての外国に触れてもらおう、と考えました(今回もその基本は不変です。)

それから約30年たった2012年春に、偕成社から新しく撮影し直して再刊行するので協力を、という連絡を受けたときはうれしかった。
それまで、ときどき前回のシリーズを出して読んでみるたびに、古くなったと思っていましたし、編集の手法も20世紀的だし、少しまじめ過ぎるとも思っていました。

今回偕成社の担当編集者3人と打ち合わせを重ねるなかで、もっと楽しさを強め、肩の力をぬいた感じの本にしようということになりました。デザインは寄藤文平さんの文平銀座にお願いし、カタチがまとまるまで幾度となくやりとりをしました。イラストも入れ、異文化と触れるときの敷居を低くすることが具体化されていくなかで、新しい写真絵本のスタイルを作ろうと盛り上がりました。

とりあえずの結果は写真を見てください。


1巻目の『ルーマニア』と2巻目の『韓国』の見本をはじめて手に取り、読んだ後の文平チームと偕成社チーム。でも、寄藤さんはまだまだ修正する部分がある、と笑いきってはいません。

これから刊行される全36巻(36か国)に乞うご期待!

 

島本脩二
1946年生まれ。編集者。小学館で「週刊ポスト」「写楽」などの雑誌を経て書籍編集に。担当した本に、『成りあがり』『日本国憲法』『月光浴』他多数。2008年より朝日新聞出版で3年間書籍統括。2002年より武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科非常勤講師として講座「編集とデザイン」を担当している。

 

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