取材日記

取材の中で感じた中国の姿

2015/07/31

きょうのブログは、『中国』を取材した片野田斉さんの取材日記2回目!(1回目はこちら
元気なチューチンがのびのびと育つ中国大陸。知っているようで知らないことが多いこの国を、片野田さんが案内してくださいました。

チューチンの名前は漢字で、「朱鏡」と書きます。最初のころは照れくさそうでしたが、すぐに打ちとけました。おしゃべりが大好きで、変な顔をして人を笑わせたり、とても明るい女の子です。
中国はおとなりの国ですが、くらしぶりはあまり知られてないように思います。取材の中で感じたことを紹介します。

チューチンが通う小学校

チューチンの小学校は家から歩いて15分のところにあります。全校生徒はおよそ2,500人。1学年6クラス、チューチンのクラスで61人います。その数に圧倒されますが、ここ河南省だけで1億人の人口があるときき、納得しました。



北京では小学校の取材が許されませんでしたが、ここ鄭州ではとても協力してくれました。

中国の小学校ではイジメがほとんどないとききました。中国人は他の人のことを気にしません。
スポーツでも、チームプレーは苦手で卓球、体操などの個人競技が得意。だから集団でだれかをいじめるということがないようです。クラスメイトたちも明るく元気に勉強し遊んでいました。

中国のごちそう

中国といえば、なんといっても中華料理です。
チューチンの家族とレストランにいくと、テーブルの上に食べきれないほどのごちそうがならびます。肉や野菜をいためたもの、魚を煮たもの、とても全部食べきれませんが、それはテーブルをいっしょにかこむお客さん(今回の場合は、わたし)を歓迎しますという意味です。もしテーブルの上のごちそうを食べきってしまったら、食べものが足りないという意味になるそうです。




ぎょうざパーティ

日本でもおなじみのぎょうざは、家に大勢人がきたときに作ります。



 

種類が豊富な麺類

中国のラーメンには、極太麺から細い麺まで種類がたくさんあります。これは家で作った麺です。
黄河のほとりである鄭州、蘭州は肥沃な土地ですが、米ができにくく、小麦の栽培に適しているので麺類が多いのです。


火鍋

寒い冬は辛い火鍋であたたまります。スープが真っ赤になるほどトウガラシが入ってます。


チューチンはあまりに辛いとお湯で洗って食べます。

それでも辛い。でも我慢して食べます。寒いときに、辛いものは体をあたためてくれるからです。

「医食同源」という言葉どおり、バランスのとれたおいしい食事を大勢で楽しみます。

お父さんの仕事

お父さんのチューミンさん(漢字で書くと朱明)は、一了(イーリョウ)というペンネームで書や水墨画を描く、いま活躍中の芸術家です。ふだんは嵩山(すうざん)という山の中のアトリエで創作活動をしています。この山は、約1500年前に達磨大師が仏教をインドから中国に伝えた歴史あるところです。武術で有名な少林寺もあり、中華文明の中心地といわれています。


お父さんが一番影響を受けた書家は、井上有一という人で、意外にも日本の人でした。この100年で一番の書家、現代書道のアイドルといわれ、中国の若い人たちにも人気が高い井上有一は、「アートとしての書」の確立をめざしました。

代表作は「貧」という作品です。日本が経済成長をとげた1960年代、物質的に豊かになった分、失ったものも多いのではないかと書かれたこの作品に、今の中国と共通するものがあると、チューチンのお父さんは言います。

「世界第2位の経済大国・中国の尺度は、すべてお金になっている。精神的なものを忘れている。そんな時代に抵抗したい」と作品を描きつづけています。


2015年 国際子どもの日

チューチンの本、『世界のともだち 中国』ができたことを両親はとてもよろこんでくれて、6月にある国際子どもの日に、出版記念パーティーをひらきました。お父さんはアトリエの近くに新たにギャラリーをつくり、そこに子どもたち約200人を集めて、盛大におこないました。


将来は、「世界をまわって料理の記事を書く記者になりたい。それか、アナウンサーになりたい」というチューチン。中国大陸の真ん中でのびのびと成長する彼女が、将来どんな道にすすむのかとても楽しみです。

 

日本と中国の間には政治的な問題がありますが、中国の友人たちはいつもあたたかくわたしをむかえてくれます。政治と人民はちがいます。日本と中国は長い歴史から見ても、仲よくしていくしかないと思います。将来の日中関係を背負っていく、日本の子どもたちがこの本を見て少しでも中国に関心を持ってくれたら、とてもうれしいです。

(写真・文 片野田 斉)

元気いっぱいなチューチンが登場する、
世界のともだち22『中国 ニーハオ!わたしはチューチン』 の詳細はこちらです!

片野田斉

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1960年東京生まれ。明治学院大学卒業。NHK映像取材部助手を経て、週刊誌で活躍する。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件に衝撃を受け、パキスタン、アフガニスタン、パレスチナ、イラクなどの紛争地を取材。河南省エイズ村、山西省炭鉱、四川大地震、北京オリンピックなど、中国に関するルポルタージュも多数ある。ハンセン病患者を取材した写真集や著書に、『生きるって、楽しくって』 、 『きみ江さんーハンセン病に生きて』がある。アメリカを拠点とする通信社、Polaris Imagesメンバー。

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