

祭りの夜に下駄を買って、キツネツキの迷信におびえる文六ちゃんと、その母の愛と信頼を感動的に描く。南吉の三大狐話のひとつ。
「新美南吉」を知ったのはこの本からでした。住んでいるのが宮城県ということもあり、童話作家というと、宮澤賢治の方に親近感を持っていたのですが、図書館で何気なく手に取って借りた、この本が新美南吉の世界へ導いてくれました。何度も読んでいるのですが、最後の2〜3ページになると、涙で読めなくなってしまうのです。子を思う親の心、親を気遣う子の気持ち。母親の愛薄く育った作者の切ないほどの母親に対しての愛情が感じられる作品だと思います。長野ヒデ子さんの絵もいいですね。(読者の方より)