祭りの夜に下駄を買って、キツネツキの迷信におびえる文六ちゃんと、その母の愛と信頼を感動的に描く。南吉の三大狐話のひとつ。
1913年愛知県に生まれる。東京外国語学校英語部文科卒業。中学時代より文学に興味をもち、童話・童謡・詩・小説などを書き続ける。1943年没。その作品は民芸品的な美しさと親しみ深さを感じさせ、今も多くの人に愛されている。主な作品に「ごんぎつね」「てぶくろを買いに」「おじいさんのランプ」などがあり、全業績は『校定 新美南吉全集』(全12巻)に網羅されている。
1941年、愛媛県で生まれる。『おかあさんがおかあさんになった日』でサンケイ児童出版文化賞、『せとうちたいこさんデパートにいきタイ』で絵本にっぽん賞受賞。作品に『とうさんかあさん』『ねこのたいそう』『かあさんになったあーちゃん』『狐』(新美南吉・文)など多数。
「新美南吉」を知ったのはこの本からでした。住んでいるのが宮城県ということもあり、童話作家というと、宮澤賢治の方に親近感を持っていたのですが、図書館で何気なく手に取って借りた、この本が新美南吉の世界へ導いてくれました。何度も読んでいるのですが、最後の2〜3ページになると、涙で読めなくなってしまうのです。子を思う親の心、親を気遣う子の気持ち。母親の愛薄く育った作者の切ないほどの母親に対しての愛情が感じられる作品だと思います。長野ヒデ子さんの絵もいいですね。(読者の方より)