家にいるほうが、ずっと自由に思えた
全国一斉休校となった日、
小学5年生のるるこは、ひとしれず、ほっとしていた。
<でも、そんなふうに思っていいのかな。>
休校一日目は、母の会社に行き、同僚の連れてきたちょっと変わった姉妹と過ごし、翌日からはしばらくぶりに家に戻ってきた母の姉、聖子と、古い家の片付けとリノベーションにとりくむことになる。
自分の居場所を心地よくしていくステイホームの毎日が、いい子でいなくちゃと思っていた、るるこの心を少しずつほぐしていく。
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「まあ、そうだね、楽しくはないよ。でも言ってらんないじゃん、好きとかきらいとか楽しくないとか。どっちみち、行かなきゃいけないものなんだし。」
「それにしたって、自分の正直な気持ちは、知っておくほうがいいに決まってるよ。きらいなものはきらいって、はっきり自覚しておかないと、逃げるチャンスがあらわれたとき、一瞬でつかめないでしょ?」
(本文より)
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受賞歴:
なんて素敵なコロナ禍の過ごし方!と思いました。私自身、コロナで仕事が休みになったときはのびのびゆっくり自分の好きに過ごしてしまったタイプですので、るるこちゃんの解放感、共感できます。そして、安心できる場所をもつ。すごく素敵なこと。それを守るために、作るために動く。すごく大切な学びだと思います。もしかしたら学校の勉強では教わらない大事なことかも。作者さまのファンでありますが、今回もおもしろかったです。子どもたちにも、この戦い方が刺さればいいと思います。(40代)