広い空のどこかにある「カオス」。日本語でいうと「混沌」、宇宙が生まれるまえの状態ということになっていますが、かんたんにいうと〈ぐちゃぐちゃになっていて、なんだかわからないもの〉のことだそうです。このカオスのなかからは、ときどきふしぎな品物が出てくることがあるのです。
「わたし」は、ひょんなことから、このカオスを見つけて修繕する、管理エージェントの仕事をはじめることになったのですが、空飛ぶ玄関マットに乗ってさがしても、なかなかカオスは見つかりません。それどころか、空の上で出会ったのは、ギリシャ人の農民に毘沙門天、ドイツの「撃墜王」リヒトホーフェン男爵、それから、浦島太郎と竜宮城の右大将……!?
奇想天外な登場人物と「わたし」の掛け合いがとびきりおかしい、斉藤洋の極上ユーモア小説。ふしぎな品物を売るセールスマン、アッバス・アルカン氏との出会いを描いた作品『ギュレギュレ!』の姉妹編です。