「だいたいだね、昔話なんてもんは、人が語りついでこそ、まともにつたわっていくもんだ。 本なんかにしちまったら、ろくなことになりゃしねえ。」
オーストリアのウィーンにあるシュテファン大聖堂前の広場で、仮装行列を見学していたわたしにこう話したのは、かつて「ブレーメンの音楽隊」のどろぼうだったと名乗る男、アンドレ・トーアでした。それから立て続けに、昔の軍隊の制服を着た青年と、いかにも童話から出てきたというようなかっこうの老婆がやってきて、それぞれ「白雪姫」と「靴屋の小人」の話をしていったのです……。
この本は、わたしが聞いた、その3つのふしぎな話を日本語になおしたものです。
物語の脇役、サブキャラたちが語る、あっとおどろくうちあけ話を3編収録した短編集第2弾。
<目次>
まえがき
1 ブレーメンの音楽隊 語り手:アンドレ・トーア
2 白雪姫 語り手:皇太子妃親衛隊隊長 マックス・フォン・フェルト
3 靴屋の小人 語り手:アンナ・シューマッハー
あとがき
斉藤 洋先生、いつも面白い話を読ませて頂き、本当に有り難う御座います。独特の理屈っぽさがとても素敵です! 又、出版社の方々等、この本を僕の所に届けて下さった方々にも、本当に有り難う御座います!(13歳・男性)