アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートする。肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、そのルーツはさまざまだ。はたして、どのような議論がくりひろげられるのか。そして、勝敗の行方は?
反戦をテーマにした児童文学は、ほぼその刊行国の視点で描かれる場合が通例だが、この作品は、日本人作家による、アメリカ側の視点で描かれた物語である。メインテーマは原爆の是非だが、それぞれの登場人物のおかれた立場から、真珠湾攻撃、日中戦争、ナチズム、アメリカマイノリティなどにも話が及ぶ。
「先の日本で行われた戦争とは、なんだったのか」
日本の若い読者にとっては、対戦国であったアメリカのいまの若者たちの姿を通して、客観的にこのことについて考えることができるだろう。
日本人作家による、YAジャンルのあたらしい試みともいえる作品。
小手鞠るいさんに感謝します。原爆投下について広い視野から核心にせまる深い内容に教えられ、感動しました。(この年になって教えられました)周りの仲間と回し読みをしています。最後は中学校の図書室に寄付したいと思っています。ありがとうございました。(70代)
原爆について、もう一度、考え直すことができました。とてもいい本でした。自国・他国との愛情と深く思考する力が、必要な、困難であり、また尊い行為ということを学びました。(12歳)
私はこの本を読んだ後に、学校の行事で「広島平和学習」に行きました。この本を読んだだけで、事前学習ができたように思います。原爆肯定派・否定派のどちらの意見にも説得力があるところに読みごたえを感じて、舞台が日本ではなくアメリカだったことも驚きました。原爆について改めて考えさせられた本でした。(13歳)
大変感動しました。先の大戦のこと、広島長崎の原爆のこと。差別のこと。軍隊のこと。どれも重く根深い問題が実にわかりやすく力強い文体で描かれています。アメリカの高校生のディベートという設定もとても効果的だと思います。若い読者たちにもすすめようと思います。(50代)
本当に素晴らしい本に出会いました。最後は涙が止まりませんでした。事実を正確に表現し、最後に真実に到達する。多くの人に是非読んでもらいたい1冊です。(60代)
構成が実にうまいと思いました。広島・長崎の原爆をめぐる討論だけかと思ったら、真珠湾、中国侵略、黒人差別、ユダヤ人問題、日系アメリカ人の収容制作と多岐にわたっており、話を展開しながら戦争と平和の本質へと迫っていくところが最高です。(70代)