

横浜から山口に引っ越すことになった、小学4年生のえり。ある日、じいちゃんのすすめで、じぶんだけのちいさな畑をはじめることになりました。
そこで出会ったのは、ふまれても飄々と生きる雑草たちや、ももの木のうえから細かな毛を飛ばしてくる〈もものけむし〉、台風のまえの巣づくりで手ぬきをするクモ……都会から地方にやってきた少女の、みずみずしい視点でとらえた自然のすがたを手紙にして、横浜にくらす親友のエミへ送ります。
畑で見聞きしたこと、あたらしい生活のことに加えて、手紙の内容は、横浜の小学校で不登校になってしまった、ふたりの幼なじみ・けんちゃんのことに。部屋にこもってしまったけんちゃんに、ふたりができることとは……。
ふたりの少女の手紙のやりとりをとおして、自然のふしぎと、いじめをとりまく子どもたちの心の動きを繊細に描いた作品です。
受賞歴:
思春期女子の文通。その文通を通して自然の不思議さ、生命力、そして人とのつながりを実感していく話。ほんわかしていて、でも説得力があっていいなって思いました。(50代・女性)
小学生の手紙のやりとりだけの本は、とても楽しくなつかしかったです。本の帯にある、自然のふしぎといじめに向き合う子どもの心。ドキドキしました。いじめ、大丈夫かな?って。でもエミが強い、たくましい子で本当によかったです。いじめてるカズキも実は心配している様子とかも。届いた野菜で作ったカレーも、きっととてもおいしいんだろうな!って、私も虫はイヤだけど自然っていいなって思いました。(読者の方より)
えりちゃん、エミちゃん、こんにちは。いいなあ、こんなに手紙で思いが伝え合えてるなんて。私も手紙仲間に入れてもらいたかった!え?だめ?2人の心の伝え合いだから?11歳の私は、兵庫県の田舎町から、この静岡県沼津市の商店街の小学校へ転校してきて(わけあり家庭の子として)その時はあんまり淋しかったかどうか、おぼえてないけど、今、『あららのはたけ』を読みながら、思い返すと、ずいぶん心細くて淋しかったんだろうと思うな。あの時に、えりちゃんやエミちゃんのように手紙を出し合えるヒトがあったらなア、でも私の友だちは「本」だった。学校には焼け残った本がどっさりあった。(心を耕やしてくれるあららのはたけの草たちのような…)今でもその時の本たちは友だちだよ。中学生になったえりちゃん、エミちゃんに会いたいよ。(昔11歳、今70代)