





森でたった一人暮らすハリネズミ。ある春に、物知りのモグラとともだちになりました。目がよく見えなくて土の中に暮らすモグラと、土の上に住んでいるハリネズミでは、見えるものも、好きなものも違います。心配症でおせっかいのハリネズミはつい、モグラの家は暗すぎるんじゃないか、とか、きれいな花を見せてあげたい、とか思ってしまうのですが、モグラにはモグラの世界があることに少しずつ気づいていきます。そして、二人にはもっと大きな違いがありました。命の長さです。いつかやってくるお別れにも、ハリネズミのためにモグラはちゃんと準備をしていたのでした。
二人のやりとりがあたたかなユーモアとともに描かれた短いお話8つ収録。
<目次>
ともだちになった日 5
土のなかには音がいっぱい 17
星の川 27
雨の日のとくべつ 33
冬ごもりのやくそく 43
土のなかにはにおいもいっぱい 55
ごはんをたべたくない日 65
わすれない青い空 75
受賞歴:
今、殺伐とした世の中で、人と人との関わりの薄さに心が乾いていく思いがしています。『いつまでもともだち』は、そうした今、生きとし生きるものの持つ原点を気づかせてくれる大切なものがちりばめられていて、ハッとしたり、ふわーとあたたかい気持ちになるものでした。生きて後に「死」を迎えることも、素直に優しく、また何とも哀しい涙する受け止めで、心に残ります。子ども達はもちろん、大人の、そして高齢の方々にも読んでいただきたい一冊です。(70代)
仁科さんの本はほとんど読んでいますが、こんどのはとくに良かったです。絵も温かくやさしい!!心温まる本でした。皆、こんな心になれたら戦争なんてなくなるのに……。友人にも贈りたいと思います。(70代)
心の中に温かくも「強く生きる」「この世を楽しむ」という思いが広がりました。お話の中で何度もでてくる「感じる」という言葉、目で見えているつもりの世界だけでなく、目をとじ、呼吸を整え、静かに感じてることの大切さ。「自分とモグラとはずいぶんいろいろちがうんだな」と思いながら、気持ちをおしつけることなく、どちらが正しいかジャッジすることもなく、違うからこその素晴らしさを受け入れている、とても素敵な世界観だと思いました。「死はおわりじゃない、「育てる」ということもある」「まるで、むねにあながあいたよう」死を受け入れ、死をもって「生きる」を教えてくれたモグラの深い思いを感じました。読み終え、ワスレナグサの花言葉を調べました。「真実の愛」「私を忘れないで」この2人にぴったりの花が咲いたのだと感じ入りました。(読者の方より)
好奇心旺盛で優しいハリネズミ君と思慮深いモグラ君の友情物語。大切なメッセージがたくさんありました。お互いの違いを尊重し合うことは多様性の中、生きる上で不可欠であり、相手が世界をどんな風に感じ見ているか想像することは、自分の気づきにもなりますね。モグラ君のお母さんの“死は終わりではなく育てるということだ”というメッセージがとても素晴らしいです。いなくなったモグラ君の家の上に忘れな草の青い花が咲いている場面は、切ないけれどお母さんのメッセージとリンクしていて心があたたかくなりました。手描きならではの線と色えんぴつとパステルの優しい色合いが好きです。大人もいやされる素敵な童話との出合いでした。(読者の方より)
住む世界や生き方が全くちがうハリネズミくんとモグラくんの友情が本当にステキでした。お互いに知らなかったことを教えてあげたり、分かち合ったりして、常に相手のことを考えてあげて、心がほっこりしました。生と死についてあらためて考えさせられて、感動的でした。(10歳・お母さまより)