秩父の山間のたった3軒だけの集落で育った著者が、その子どものころの思い出を描いた絵本。畑を耕し、牛や鶏を飼い、自家製のお茶まで作る自給自足の生活の中で、育てた羊の毛で作ってもらうセーターを心待ちに過ごした1年を四季のめぐりとともに描きます。自然の息吹までが感じられる山の風景と、その山につつまれて、たくましく暮らす家族の姿には、たんなるノスタルジーをこえた、溌剌として生きることの喜びがあふれています。
受賞歴:
ぼくは子どものとき、山の中でくらしていました。
そこには、たった三軒の家しかありませんでしたが、たくさんの動物をかっていました。
これは、かっていた羊の毛をつむいだ毛糸で、セーターをあんでもらったときのおはなしです。
飯野和好
このぼくちゃんが、羊の毛でセーターができあがるまで、心待ちにしている気持ちが浮かんでくるように感じました。それまでの羊のお世話や、羊に対する優しい愛らしさ、そして、それで作られたぬくぬくセーターを着る嬉しさが伝わってくるような一冊です。私も手編みをしますが、この毛糸にも飯野さんのような優しい心を持たれる人達がかかわっているようで、あったかーい気持ちになりました。(読者の方より)
山里の豊かな自然・動物・人間の生活がすばらしいです。桑の葉のにおい、蚕のにおい、羊のにおい…その場に行ってみたいと思いました。毛糸屋さんが羊の毛をかるんですね。家の裏に小川が流れているところ、私の新潟のおばあちゃんの家が同じで思い出しました。どんなセーターにしてもらうか考えているところがとっても楽しそう!!(読者の方より)
友だちが、羊の毛を袋にいっぱい4つももらったと聞いてこの絵本を思い出しました。その友人にこの絵本を紹介したくなりました。それよりも私が気に入って、人にあげることができなくなりました。もう1冊買うしかないな。すごく気にいっています。(60代)
飯野さんの幼いころの暮らしの思い出がいきいきと再現されていて胸がきゅんとしました。むかしの日本の暮らしには羊がいたり山羊がいたり、動物が身近にいて、“生きることの尊さ”を知らず知らずのあいだに身につけていたと思います。おかいこさんを育てる場面も迫力あり、いっしょに生きていくことの大切さを教えてくれました。働いているおとなたちの表情がすばらしい。羊毛やお蚕のにおいはわたしの思い出になりそう。(読者の方より)