秩父の山間のたった3軒だけの集落で育った著者が、その子どものころの思い出を描いた絵本。畑を耕し、牛や鶏を飼い、自家製のお茶まで作る自給自足の生活の中で、育てた羊の毛で作ってもらうセーターを心待ちに過ごした1年を四季のめぐりとともに描きます。自然の息吹までが感じられる山の風景と、その山につつまれて、たくましく暮らす家族の姿には、たんなるノスタルジーをこえた、溌剌として生きることの喜びがあふれています。
1947年、埼玉県秩父に生まれる。絵本、人形芝居の美術・衣装、雑誌・広告、またブルースバンドを組みライブ活動をするなど、幅広く活躍中。作品に『わんぱくえほん』『あくび』、「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズ、「くろずみ小太郎」シリーズ、「おもしろ落語絵本」シリーズなどがある。
ぼくは子どものとき、山の中でくらしていました。
そこには、たった三軒の家しかありませんでしたが、たくさんの動物をかっていました。
これは、かっていた羊の毛をつむいだ毛糸で、セーターをあんでもらったときのおはなしです。
飯野和好