いつもゆっくりのんびりのナマケモノくん。物静かなナマケモノくんの姿を通して、ゆっくりすることの大切さを教えてくれる絵本。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
ある日のこと、私はなにもかもいやになって、ドアに「DO NOT DISTURB (邪魔しないでください)」の札をかけ、スタジオにとじこもってしまいました。私の生活は、打ち合わせやら面会やらで、うんと忙しくなってしまっていたの です。すると、そのときでした。ゆるやかに、のんびり動くナマケモノの姿が頭にうかんだのは。
ナマケモノは、1日24時間のうち20時間ちかくも寝ている、おかしな動物です。食事だって、同じ大きさ・同じ重さの他の動物が食べる量の10%ですん でしまう、ずいぶん退屈な動物です。そうやって、ひとりきりで生きていて、めったに音もたてない、なんとも摩訶不思議な生き物なんです。–多忙をきわ め、へとへとだった私には、そんなナマケモノこそうってつけの解毒薬だ、と思えたのでした。
日々の生活には、ほんとうに沢山のことが起こります。重大な事件も、ほんの小さな出来事も。驚きや好奇心の種は、そのいたるところに隠されているのです。 それなのに私たちは、前へ前へと突き進むことばかりに追われてしまっている気がします。テレビにかじりついて、ゲームに夢中になって、果ては忙しくあるた めに忙しくしているような…。一体なにをそんなにあわてているのでしょう?どうしてそんなに急ぐ必要があるのでしょう?
もしできたら、ちょっとだけ動きをゆるめて、夜空を眺めてみませんか?–きらめく星と明るい月に照らされた空を、ゆっくりと。(エリック・カール)