イーラちゃんの部屋から今日もデタラメなピアノの音が聞こえてきます。でもイーラちゃん、本当はとってもピアノが上手なんですって。ある日、その音を聞きつけたカエルの王様がやってきて言いました。「わしらの国には、世界に雨を降らす『あめふりピアノ』というものがあるのじゃが、わしはピアノが苦手でのう。イーラちゃん、かわりに弾いてくれんかの」。イーラちゃんが「喜んで」と引き受けると、あら不思議! たちまち鍵盤が道になって、カエルの国に連れていってくれました。ピアノのあるジャングルの真ん中で、イーラちゃんの大活躍が始まります。やんちゃで、ちょっと利かん坊の女の子イーラちゃんの冒険、第2弾。
受賞歴:
稀代のやんちゃ娘イーラちゃんのお話第2弾です。今度の舞台は原っぱジャングルの中のカエルの国。そこに世界に雨を降らせる「あめふりピアノ」があるのですが、カエルの王様はピアノが大の苦手。そのせいで、このところ世界は日照り続きです。さあ、そこへ登場するのが我らがイーラちゃん! さらさらさらっと曲を書き、カエルたちと一緒に大きな声で歌います。
梅雨どきのじとじとを吹き飛ばすような、カッコいいヒロインの活躍ぶりがみものです。イーラちゃんが最後に王様に言い放つ台詞がまた痛快。どうぞ本をひらいてご堪能くださいね。
それから個人的なお薦めポイントは、カエルの国にいく途中の原っぱジャングルの絵です。作者のしまださんは日頃からご近所に広がる原っぱの植物や虫たちをよーく観察しながら散歩をしているそうなのですが、なるほど普通の原っぱも視線を低くすると、こんなジャングルに見えてくるかもしれない、と舌を巻きました。イーラちゃんの冒険はいつも日常の中で想像力をうんと膨らませることから始まります。その世界観はこんなしまださんの視線に支えられているのだな、と実感した絵でした。