

ムダに美形と評判の古典研究部、業平部長は
部員集めのため読書会を企画したものの、予想外の展開に見舞われる。
現代の高校生が、「虫めずる姫君」などで知られる
『堤中納言物語』のナゾとたくらみを
訳し、つっこみ、続きを書きながら読み解いていく
新感覚古典小説!
「てか、この主人公、コンプライアンスって言葉、知らないよな。」
「出たよ、垣間見。」
「平安時代の貴族の男って、ほかにやることなかったんすか。」
「貴族社会の女たちのストレスってハンパないすね。」
「後半戦はMCバトルかぁ。」
本書の中には、「わからないからといって、そこで思考を閉じちゃダメだよ」というセンパイのセリフが出てきます。閉じてしまったらなにもわからなくなってしまう。古典を楽しむためには想像しよう、と言っているのです。
千年前の世界を見ることはできないし触ることもできない。でも記録は残っている。その情報をもとに千年前を生きていたヒトたちはどんな暮らしをしてなにを考えていたんだろうと想像することは可能なのだ、と。
千年前の情報に精通した古研のセンパイたちとの出会いがきっかけで、古典初心者の村崎さんと清宮さんが「マジか」を連発しながらも堤中納言物語の世界を楽しみはじめる。それって、自分が高校生だったころにこんな出会いがあったとしたら……という夢想の発露なのかもしれません。