

沙羅は自分の誕生と引きかえに母親を失った。男手ひとつで育てられた彼女は作家を目指すようになり、新人賞を獲得、最初の作品はヒットするが、その後低迷が続き、あらたな作家としての可能性を探るため渡米する。リタイアメントホームのアルバイトでダニエルという老人と仲良くなった矢先、沙羅は、父親が危篤になった知らせを受け帰国する。
沙羅と彼女の描く作中作が、交互に描かれる構成。
作中作は、第一次世界大戦下で看護師として渡仏する椿イズミが主人公。
二つの物語は、いくつかのワードでつながっていく。
受賞歴:
小手鞠るいさんの作品はスラスラ読めてしまいます。文のリズムが良いのだろうと思います。この『イズミ』も一気に読んでしまいました。今年病気をした父を思い出し、命とは、生きるとはについて考えました。ラストはかなり衝撃的でした。命の尊厳とは何なのか?生きているだけでもいいのでは?と思っていた自分にとって新たな課題をいただいたように感じました。(40代)