





冬のある日、初めての雪を見た子狐はおおはしゃぎ。やわらかい雪のうえをかけていたらすっかり手が冷えてしまいました。
「お母ちゃん、お手々が冷たい、お手々がちんちんする。」
そこで母狐は、人間の町で、子狐に毛糸の手袋を買ってあげようと思います。子狐の片手を人の手にかえ、銅貨をにぎらせて、「かならず人間の手の方を差し出すんだよ」とよくよくいいきかせます。
トントン。
「このお手々にちょうどいい手袋ください」
ところが、子狐はお店でつい、狐の手のほうを出してしまったのです。子狐は無事に手袋を買えるのでしょうか。
母親の子を思う気持ち、子狐の緊張感が文章からあふれるように伝わる新美南吉の名作を、黒井健が情感豊かな絵で表現したロングセラー絵本。
受賞歴:
きれいな絵でとても気に入り何度も何度も読みたがります。少し早いかな?と思いましたが、「きつねのお手々出しちゃったね」と内容を把握しており、就寝前の読み聞かせの定番となりました。いつ読んでも名作ですね!(3歳・おばあさまより)
黒井健さんの心を包み込むような絵が、とても好きです。孫は男の子ですが、子ぎつねがおててを間違えて差し出してしまうところで、泣きそうになります。あまりの可愛さ、いじらしさに。(10歳・おばあさまより)
新美南吉さんの美しい物語の世界に引き込まれました……。人間を恐れない子どものきつねの純粋さに心うたれます。黒井健さんの絵も、雪の日の静けさ、冷たい空気が伝わってくる様で、すばらしいです。(8歳・お母さまより)
小さい頃に読んだこの本を息子へのクリスマスプレゼントにしました。かわいい子ぎつね。てぶくろ、あったかいでしょうね。(4歳・ご家族より)
幼い頃に読んだのち、何十年もすぎました。親となった今の私にとって、子どもが自分のそばをはなれ、成長して戻ってくるのをふるえてじっと待つ母ぎつねの思いは、深い親の愛そのものだと感じました。きつねだとわかっても、手ぶくろを売ってくれた帽子屋さんのご主人が、本当に優しい人でよかった。私もこのご主人のような思いやりのある人でありたい。(50歳)
子供の頃に読んだきりで内容も忘れかけていましたが、今この年齢になって読み返すと母親の目線で読むことでとても新鮮な気持ちになりました。美しい日本語で書かれている所も本当にすばらしい絵本だと思います。これからも大切にしたい一冊です。(30代)
子どもの頃、優しい色使いの絵と、少し聞きなれない単語まじりの文章で、母に読んでもらったのを思い出し購入いたしました。小学生の頃は子ぎつねに対する愛情や、成長してほしいと思う気もち、いつまでも見まもっていたいと思う気もち。色々な気持ちになりました。私の母も同じように感じてくれていたのではないかと思うと、少し涙が出ました。(1歳・お母さまより)
家にあったこの絵本が大好きでした。子どもができて、子どもによんであげたくて自分でも買いました。親になってから読むと、以前とは違った気もちで読むことができて、なつかしくもせつない、新しいものを読んでいるようでした。図書館も良いですが、大切な本は自分の手元に置いておきたいと感じる一冊です。(1歳と3歳・お母さまより)
母が話してくれた遠ーい昔に。小さなこたつに入って。寒そうなキツネがかわいそう…なんで母ギツネがいっしょに行ってやんないのかってずっと思っていましたが絵本を読んでそうだったのかあと謎が解けました。絵がふわっとしててあったかそうなキツネに触って見たくなりました。大切な宝ものです。お姫さまの絵も見たいです。(60代)
お話会で読みきかせをしました。物語の内容もさることながら黒井さんの絵がとても素敵な一冊です。最後の「ほんとうに人間はいいものかしら」と2回母さんぎつねがくり返すところが好きです。読み聞かせの終わりにこのセリフに心をこめてしめくくりました。(50代)