実母と死別した次郎は、程なく継母を迎える。中学へ進んだ彼は徐々に自己の内面に目をむけていく。作者の体験をもとに雄大なスケールでえがかれた、国民文学ともいえる名作。
1884年佐賀県に生まれる。本名内田虎六郎。東京帝国大学卒業。1911年中学教師として教育界にはいる。1913年下村家の養子となり下村虎六郎となる。1931年台北高等学校長を最後に教職をはなれ、社会教育に専念した。中学時代より文学に興味を示し、高校、大学と雑誌の編集委員などをつとめた。「次郎物語」(全5部)の執筆に着手したのは1936年ころから。1954年に第五部を脱稿。1955年没。