花岡イカルが博物館の怪異研究所に勤めて1年がたった、明治17年初夏。不忍池のほとりで、上野戦争の折に亡くなった彰義隊士のものと思われる白骨死体が発見される。遺された刀から、鴫原信明という隊士であることが判明するが、遺族によると、信明は寛永寺の寺宝である茶道具を盗み出した疑いをかけられたまま戦場から逃亡し、明治6年には京都から父に宛てて謝罪の手紙を送ってきているという。
その後も、博物館美術部長の後任と目されていた柳井慎一郎が遺体で発見され、算術の天才少年・千太郎が何者かに襲われるなど、立て続けに事件が起こる。
一連の事件には、なにかつながりがあるのか? 千太郎のまわりにあらわれ、イカルにだけ姿が見える謎の黒犬の正体は?
かつてイカルをトノサマに託すよう予言めいた言葉を残した初代館長・町田久成も登場。上野戦争の記憶と博物館をめぐる謎が交錯する、シリーズ第3巻。