港で奇妙な潜水艇と出会った少年カール。ひとクセありそうな乗組員たちと、巨大渦の謎を解く旅に出る…。斉藤洋の海洋冒険SF。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
第一次世界大戦と第二次世界大戦のあいだの、平和とはいえ、ヨーロッパが怪しくうごめいていた時代、そんな時代を舞台にした冒険物語です!
科学技術がガガガーンと急速に発達しているさなか、時代の技術から見ればさらに何歩も先をゆく潜水艇に、たまたま乗りこんでしまった日系ドイツ人の少年、カール・キリシマ・キルシュが主人公です。
天才科学者、ハインリッヒ・フォン・ローゼンベルク博士は、自作の潜水艇に乗って、北緯54度、東経8度、ヘルゴラント島南南東およそ十海里の海域をめざします。その海域にときとして発生する巨大うずまきこそ、異次元世界への入り口なのであります……、と、そういうわけで、新シリーズ「イーゲル号航海記」はただの海洋冒険物語ではなく、〈異次元〉という言葉がつくのです。
このイーゲル号、当時のUボートとはちがい、ティアドロップ型で、現代の潜水艦に近いかたちをしています。表紙をぱっと開くと、そこにイーゲル号の断面図があります。それをごらんいただくだけで、わくわくしてこられるのではと思います。
あ、そうそう。ひょっとするとみなさまのなかには、
〈新シリーズなんていったって、斉藤洋のは次が出るまで、長いからなあ。白狐魔記シリーズなんて、第一巻と第二巻のあいだは二年半近くあいていたし……。〉
なんて思っていらっしゃる方がおられるかもしれません。
でも、だいじょうぶ! ご安心ください。第二巻はもう書きあがっていて、原稿は偕成社にありますから!(斉藤 洋)