時は戦国。白狐魔丸は鉄砲撃ちの少年と出会う。少年が師匠の仇と狙うのはあの織田信長だった―。化身する狐が見た戦乱の世。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
たいへん長らくお待たせいたしました。今回の白狐魔記は、『戦国の雲』であります。前巻、第三巻『洛中の火』が出たのはちょうど六年前の六月。その最後のページには、『戦国の雲』とタイトルまで出した予告があるのに、発行がこのように遅れてしまい、すみません。
タイトルの『戦国の雲』があらわしているように、今回の舞台は戦国時代、その中でも、天正元年から天正十年の十年間、織田信長が足利十五代将軍義昭を追放してから本能寺の変まで、地理的には、美濃、尾張、近江、伊勢、そして京を舞台にしています。鎌倉幕府倒壊後、白狐魔丸は運よく応仁の乱にはかかわることはありませんでしたが、さすがに時代の傑物、織田信長が呼びおこした渦には、巻きこまれずにはすまなかったのであります。
ところで、白狐魔丸は寿永二年(西暦1183年)の生まれですから、本能寺の変が起こった天正十年(西暦1582年)には、昔のかぞえ年齢で四百歳ということになります。それでもなお、白狐魔丸の時間の旅は続きます。
今後の刊行について、第三巻の最終ページの狐の影絵の下には、〈以下続刊〉とあるのに、今回の第四巻の最終ページの狐の絵の下にこの言葉はありません。けれども、これは、「以下続刊しない」という意味ではありません。もちろん、第五巻も出ることになっていて、どの年代のどの事件に白狐魔丸がかかわるかも、ほぼ決まっています。そのようなわけですので、今後とも、白狐魔丸の応援、よろしくお願いいたします。(斉藤 洋)