≫【書評】『わたしが少女型ロボットだったころ』を読んでいなかったころのわたし––中脇初枝/作家(Kaisei web 書評コーナー)
わたしは、ロボットだった。
人間じゃなくて、ロボットだった。
そのことを、わたしはすっかり忘れて生きてきた。
きっと、忘れたまま生活するようにプログラミングされていたんだと思う。
だけど、思い出してしまった。
本当に突然、ふっと。(本文より)
自分がロボットであると認識し、食べることをやめた少女と
彼女を理解しようとする少年
ゆらぎ、見失いそうになる自分の形を
見つけるための物語
主人公の幽(かそ)けし心が、少女の気持ちが叫ぶほどの筆力で迫ってきました。男の子もとても良くて距離の取り方「それどころじゃない同士」に気づくところも秀逸です。食べられないことの描き方、当人の気持ちと状況はこうなのだなーとそれでいて、すとんと希望もうけいれる、いや受け入れようというのではないですね。快方へ向かうところもよかったです。(50代)