

チャーリーは家族からはなれて、たった一人、いなか町のコルビーにやってきました。事件をおこした父親が拘置所にはいって、精神が不安定な母親も子どものめんどうがみられないので、姉さんのジャッキーともはなればなれになって、一度も会ったことのないおばさん夫婦にひきとられたのです。
一番星や、四つ葉のクローバー、雨の中をとぶ鳥など、毎日なにか幸運のしるしをみつけては、願いごとをするチャーリー。
近所で見かける、やせたのら犬に自分と似たものを感じて、なんとかつかまえて飼いたいと思ったチャーリーを、クラスメイトのハワードが手つだってくれるようになります。
家族からひきはなされ、怒りとさびしさから、かたくなに自分にとじこもっていた少女が、その気持ちを理解してくれる人たちの中で少しずつ心をひらいていき、自分のほんとうの願いを知るようになる物語。
児童図書作家画家協会(米国)・クリスタルカイト賞受賞作。
とても心が暖まる内容で時に涙しました。子供達の幸せを願いつつも、大人は真に子どもに寄り添ってその心のうちをわかっているかどうかと反省しつつ、どんなときにも全てを包み込んでくれ受け止めてくれる存在の有無がその子の後の人生そのものを幸せにするかを決める柱にもなるのだと思いました。(70代)
子どもは生まれる環境も親もえらぶことができない。不幸な状況にあっても願いごとをせざるをえない状況を、ていねいに描かれている秀作。思春期の子どもたちに読ませたい本。バーサとガス、そしてハワードのような人たちが日本の世界のあらゆるところにいまようにと祈らずにはいられない。この本に出会えて、良かったと心から思います。思春期の心のゆれを描く作品がもっとつくられることを願います。(60代)
登場人物の言葉が個性的で魅力的に書かれている。人間の姿で現れているかのように感じられ、話の世界に引き込まれた。著者(訳者)の語彙力がすばらしい。子ども達に、ぜひ読んでもらいたい本だ。(70代)
自分が幼少期にどんな願いごとをしていたか、思い出して笑えました。日本の各地域にも様々なおまじないや「神様」がいて伝えられてきましたが、今の子どもたちはどうなのかと少し心配になりました。自分の居場所づくりに悩んでいるすべての世代の人に読んでほしいです。(40代)
チャーリーの言動や気持ちに、自分の子どもの頃を思い出す所がいくつもありました。この1年のベストワンです。その後、たまたま『ガラスの家族』キャサリン・パターソンを読み返したのですが、設定が似ている!とびっくり。ハワードとウィリアム・アーネストが主人公の心を溶かすのも重なりました。これも本当にヒリヒリするけど名作ですね。ユーモアもあるし。ずっと出し続けてほしい作品です。(40代・女性)