19世紀末のブダペスト。大切な遊び場を守るべく敵対する赤シャツ団と戦う、誇り高きパール街の少年たちの物語。60年代に刊行された名作の復刊。
1878年ハンガリー・ブダペスト生まれ。ブダペストとスイスで法律を学び、小説や戯曲を書きはじめる。新聞記者を経て「悪魔」(1907年)、「リリオム」(1909年)、「近衛兵」(1910年)などの優れた戯曲を執筆、ヨーロッパやアメリカで上演され好評を博す。1940年、ナチスによるユダヤ人迫害を逃れてアメリカに亡命、ニューヨークで演劇芸術の教師となる。1952年没。
1943年神奈川県生まれ。ハンガリー語・文学専攻。東京教育大学卒業。1968年から2年間、ハンガリーのエトヴェシュ・ローランド大学に留学。帰国後、出版社等を経て出版社ユック舎を設立。そのかたわら、東京外国語大学、外務省研修所などでハンガリー語講師をつとめる。主な訳書に『オルトゥタイ ハンガリー民話集』、コンラード・ジェルジュ『ケースワーカー』、ノーベル文学賞受賞のケルテース・イムレ『運命ではなく』などがある。
1943年ブダペスト生まれ。国立ハンガリー芸術大学卒業後、国内外で個展、グループ展を開く。2000年「ハンガリーの優れた芸術家」として表彰される。国内の児童文学作品の挿絵も多く手がけている。
土下座ってしたことがありますか。私はあります。小学校1年の時でした。公園で同級生が複数の上級生にいじめられていたのです。幼いころから「卑怯者にはなるな」と父親にたたき込まれていた私は、その状況に接し、いきなり上級生に飛びかかっていきました。当時はプロレス全盛。私は「ヘッドロック最強」を盲信していたので、敵の頭を腕でしめつけました。が、腕力に勝る上級生ですから、あっというまに外されて、しこたま反撃をくらいました。そして一通り逆襲を終えた上級生に「おまえ土下座しろ」といわれたのです。私は、なすすべもなく土下座して謝りました(なんと残酷な上級生だ)。
少年には、友情や正義、卑怯をにくむ、ということに対する無邪気な盲信と、それを汚されることを極端におそれる、という時代があります。作者のモルナールは、そうした少年たちの気持ちをユーモアをまじえつつも、見事に描きだしています。本作は百年まえの中央ヨーロッパで書かれた物語ですが、いまの子どもたちと、それをとりまく社会に対し、十分にうったえる力のある物語です。
ラストの一文を読んだとき、ぼんやりとしつつも悟ったような表情で席につき、先生の声をきいているボカの顔がくっきりと浮かんできました。一連のできごとを通して成長した彼をみつけることができました。ネメチェクがいなくなったあとの少年たちのことを想像してみたいです。(読者の方より)
久しぶりに行った書店で偶然見つけたこの本!ビックリ!!何十年かぶりに一気に中学時代を思い出しました。中1の時に感想文の提出を求められ図書室で何気なく手にした1冊です。そして後日、運良く賞まで頂いたことが、一気に思い出されたのです。思い出がよみがえりました。ありがとう。(61歳)