いま人類はこの地球上に、わたしたちホモ・サピエンスのたった1種類しかいません、ときくと、「え、そんなのあたりまえでしょ」と思うかもしれません。
まわりを見わたしても「ちがう種類の人類」なんていませんから、とうぜんですよね。しかしそれは人類の歴史をみると、とうぜんではないのです。
イヌの仲間にオオカミやジャッカルなどがいるのと同じように、かつて人類にもホモ・サピエンスではない、けれど仲間といえるほかの人類がいたのです。そんな状態から、現在のようにホモ・サピエンスだけになったのは、ほんの数万年前からで、それまではネアンデルタール人やホモ・フローレシエンシスなど、他の種の人類もいっしょに地球上に生きていました。
さらにさかのぼれば、アルディピテクス、アウストラロピテクスなど、ホモ属ではない(でもつながっているかもしれない)人類も、この地球上でくらしていたのです。そうしたことは、いま人類がホモ・サピエンスだけになってしまったためか、あまり意識されることはありません。
そのあいだに人類は直立二足歩行をはじめ、犬歯を小さくし、森からでてたくさん子どもを産み、肉を食べて脳を大きくし、石器をつくり、えものをもとめて長い距離を走るようになりました。
そうした長くねばりづよい進化のすえ、ついに何百万年も暮らしていたアフリカ大陸を出ていくことになります。
この本では、人類が進化の上でチンパンジーとわかれてから、二十種以上の人類が現れては消え、さいごに私たちホモ・サピエンスが現れるまでの約700万年間を、たくさんの絵や写真とともに紹介していきます。
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