父の故郷マロクールで、素性をいつわり、祖父の紡績工場で通訳として働くペリーヌ。経営者として孤立する祖父を、ペリーヌは影ながら支えていく。「家なき子」で有名なマロの傑作。完訳版。
1926年東京に生まれる。東京大学文学部仏文科卒業。十七世紀フランス文学専攻。東京女子大学名誉教授。おもな訳書に『イソップ童話』『王の小径』『ラ・ロシュフーコー箴言集』 『クレーヴの奥方』『女ざかり』『家なき子』『家なき娘』等多数がある。
生きていくための聡明さとはどういうものか、人の上に立つ者の責務と孤独、新しいことを進める際の反対と心の支えなど、大人にとっても様々に気づきが得られ、考えさせられる物語でした。世の中の真実を描き出しているので、まるで古さを感じません。名訳でもありました。名作の名作たるゆえんでしょうか。(50代)