アリサとニシダくんは似たもの同士。だから、離れていても気持ちがわかる。そんな小学生ふたりの冬・春・夏・秋の4編の物語。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
4年くらい前に、『人間のカタチのスイッチ』というお話を一つ、雑誌に発表しました。ちょっと変わった女の子・アリサと、ちょっと変わった男の子・ニシダくんが、彼らにしかわかり得ない地味な交流をするお話です。
ささやかな冬のお話でした。しかし、私はそれを書き終えてからも、彼らを忘れませんでした。私の中で彼らは生きつづけていました。
彼らは、彼らなりの友情を、その後も育てている。その友情(らしきもの)は、少し変わっていて、他の人からみたらよくわからないものかもしれないけれど、彼らは彼らなりに、それをけっこう大事に思っている。春になっても、夏になっても、秋になっても、それは途絶えていない。
今回、そんな彼らの1年間を『空はきんいろ ~フレンズ~』という一冊の本にまとめました。
友だち、って、どういうの?
いっしょにトイレに行く子のこと?
毎日あそぶ子のこと?
同じスポーツクラブの子たちのこと?
そういうのに、全然あてはまらなくったって、大切な関係って、あるのかもしれません。むしろ、「ぼくたち(わたしたち)は友だちっていう言葉にあてはまらないかもしれないなあ」なんて時にこそ、なにかちょっと貴重な関係がうまれているのかも。
アリサとニシダくんは、お互いがお互いを友だちだなんて思ってないかもしれないけれど、おそらく、出会えたことをとてもうれしく思っているはず。
友だち、なんて言葉にしばられて、きゅうくつになってしまうのはもったいない。どんなカタチでもいいじゃないですか。
そんな彼らの関係を、どうぞのぞいてみてください。(大島真寿美)