

定価(本体価格) | 1,400円+税 |
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偕成社在庫 | あり |
対象年齢 | 小学校中学年から |
ジャンル | 読み物 > 伝記・ノンフィクション |
サイズ(判型) | 22cm×16cm |
ページ数 | 158ページ |
ISBN | 978-4-03-645030-5 |
NDC | 289 |
発売日 | 2006年2月 |
人間のかがやきを撮り続けたフォト・ジャーナリスト、ユージン・スミス。「水俣」など、数々の名作を残した彼の人生を追います。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
ユージン・スミスは、太平洋戦争から1970年代にかけて活躍したアメリカの報道写真家です。日本では水俣病を撮影した報道写真家として知られています。
水俣病とは、熊本県水俣市で発生した公害病です。化学工場の排水に含まれた有機水銀によって、住民にさまざまな障害が発生し、生命を落とした人もいました。お母さんのお腹のなかで、有機水銀におかされた子どもたちは、生まれながらにしてこの水俣病に苦しみました。
遺族や被害者が、化学工場の責任を追及して立ち上がりました。やがて患者さんたちは保障を勝ち取り、環境汚染対策も立てられましたが、亡くなった人たちは、そこなわれた健康は取り戻せません。
ユージンは、この水俣病を取材するために、ニューヨークから水俣に移り住み、水俣の悲劇と患者さんたちのたたかいを世界に伝えました。ユージンの写真は、環境汚染のおそろしさを知らしめると同時に、きびしい状況のなかで、たたかい続ける人々の輝きをも撮りおさめ、世界に、衝撃と感動をあたえました。
ユージンは、アメリカと日本が激戦をくりひろげた太平洋戦争で、戦場カメラマンとして認められました。戦場では、日本軍の砲弾によって大けがをします。戦後も、復興する日本を写真におさめました。やがて日系人の女性と結婚します。ユージンは日本を見つめ続けた報道写真家だったのです。彼は水俣の写真を残して1978年に亡くなりました。「水俣」はユージンの撮り続けた日本の最終章となりました。
ユージンはどのように日本を見て、どのような写真を撮ったのか。彼の写真には私たちの生きる日本社会のこの60年の歴史が見えます。水俣病がはじめて正式に認められてから、今年でちょうど50年が経ちました。この本がユージンの写真と日本社会の歩みを、もういちど見なおす契機になってくれればと思います。(土方正志)