わたしは、カモメ。そう聞くと、みんなわらう。なんたって、わたしはねこだから。港町・ラーラにひとつしかない病院ののきしたでひろわれたわたしは、フジ診療所の飼いねこになった。これから話すのは、わたしがそこで、見聞きしたこと。
ある夜、はげしく噴きあがる炎につつまれて、一艘の船が港にたどりついた。そこで助けだされた赤ん坊は、いずれ、シアン、と呼ばれることになる。左のにぎりこぶしが、おなじ名前の巻貝のかたちに、そっくりだったから。にぎりしめられたまま、けっしてひらくことのないその左手には、ふしぎな力があったんだ。
受賞歴:
やさしいやさしい物語でした。まるで頭をなでてもらっているような気持ちがしました。ハラハラドキドキしながらも、一緒に船に乗ってシアンを助けにいっているような、カモメが語る物語が本当に好きです。私にとって大切な本になりました。ありがとうございました。(30代)
今、よみたい本でした。どの登場人物もどの子もどの気持ちもそして能力も、ことばのバランスもちょうどよくて、今の世の中をもあらわしていて祈りのようです。みんなに読んでもらいたいと思います。(読者の方より)
いつもは読まないファンタジー、ミステリーですが、一気に読めておもしろかった。人物の設定や背景もよかった。子どもたちに自信をもってすすめられる1冊ですね。ネイさんとフジ先生がどうなったのか……知りたくなりました。(50代)
シアンはなぜ左手がひらかなかったのかが、さいごにわかるので、とてもすらすらよめました。キナリやヨルビンやタタなどの友だちがいていいなと思った。さい初は、何がどうなっているのかよくわからなかったけど、ずっと読んでいたらすごくシアンのことやフジ先生のことがよくわかりました。(9歳)
今年の一番でした! お話と絵がすてきにマッチして、映画のようです! 読んでいて懐かしいような切ないような…ずっと大事にしたい本です。たくさんの人(大人も子どもも)に読んでほしいです。(読者の方より)