ミステリー作家仁木悦子として知られる著者による童話集。水色のオーバーを着た男の子を見かけた〈ぼく〉に次々起こるふしぎなできごとを描く表題作のほか、「めもあある美術館」「ある水たまりの一生」など6編を収録。解説は杉みき子。
1928年東京都に生まれる。4歳のとき病気にかかり、以来独学。26歳ころより童話の創作を始め、懸賞小説に応募入選。推理作家としての作品も多い。筆名は仁木悦子。1986年没。著書は『水曜日のクルト』、少年少女推理小説『消えたおじさん』、推理小説『猫は知っていた』など多数。
母が、「ある水たまりの一生」という話を探しており、ようやくこの本にたどりついて、かしてくれました。童話は子どもだけのものでなく、むしろ大人が読むべき、教えられるべきことも多く、とくにこの本からは、それをひしひしと感じました。贈りものをいただいたように、やさしい空気に包まれました。(23歳)