ヒナちゃんは、ひっこしたばかりで、まだクラスに、なかのいい子がいません。朝おきて、学校にいきたくないなと思いながら、みどり色の歯ブラシをぱくんとくわえたときです。いきなり口の中で、その歯ブラシが動きだしたからびっくり。思わずほうりなげた歯ブラシは、なんと小さなワニだったのです。ワニは「ひどいなあ!」というと、ぽんと音をたてて大きくなりました。
ガルドという名前のそのワニは、さびしい人にだけ見えるおばけだというのですが……。
ワニのガルドとヒナちゃんの、おかしくて、あたたかなものがたり。
受賞歴:
小学校で4年生の担任をしています。子どもに何か本を読んで欲しいと思い、書店で手に取ったのがこの本でした。友だちづくりや、友だちとの関係で悩むことの多い子どもたちにぜひ読んでもらいたいと思いました。「こころの中にさ、会いたいと思うだれかがいるってことはな、もう、ひとりじゃないってことなんだ」というガルドの言葉がとても胸にささりました。心があたたまる、とてもすてきなお話でした。学校で子どもたちに読みきかせようと思います。(20代)