病気やストレスで弱っていることが多い学校の飼育動物たち。原因はなにか…。この本では、正しい飼いかたの紹介だけではなく、全国の学校から集まった飼育に対する疑問や質問にズバリ答えています。著者は学校飼育動物の権威・中川美穂子先生。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
日本の多くの小・中学校では、ウサギやチャボなどを飼っています。みなさんは、なぜ学校で動物を飼うのか、考えたことはありますか? それは、動物を見たり、世話したりすることで、子どもたちが元気になったり、やさしさを身につけたり、あるいは、動物そのものや動物が食べる植物に科学的な興味をひろげたり……と、とても良い影響があるからです。
しかし、そのいっぽうで、学校現場の子どもたちや先生方は、どうやって飼育したら良いかわからなかったり、それぞれの動物の性格や病気への対処法をしらなかったりと、みなさん相当苦労しているようです。「寒い冬はどうしよう?」「暑い夏はどうしよう?」「土日の休みは?」「あ~、元気がないって子どもが言ってきた。どうしよう!」と、心配のタネはつきませんね……。でもだいじょうぶ。この本で解決法がみつかりますよ。
わたしは日ごろ、全国の学校や園をたずね、子どもたちに、動物とのふれあいかたや飼いかたを話していますが、そのときに子どもがだしてくる、さまざまな質問! なかには、「動物って何でできてるの? ど うやって動くの?」とか、「ウサギをだくと、なぜ気持ちいいの?」などと、かわいい疑問をおずおず口にする子もいます。
このような哲学的(?)な質問には、先生方も、「動物も人間とおんなじ! だから自分で動けるんだよ」とか、「気持ちがいいって、どこが気持ちいいの? ふーん、背中? で、どんなふうに気持ちいいの? え、毛がふわふわしてる? そうか、毛が生えてるから気持ちいいんだね」などといったように、答えをみつけてあげられますね。
しかし、「ウサギの目はどうして赤いの?」「チャボはなぜけんかをするの?」などという、生理学的・生態学的な知識が必要な質問には、正直こまるでしょう? そんな難問にもズバリ答えるのが、この本です。自信をもって、子どもの質問に答えられますよ。また、なにより、子どもたちが自分でもどんどん読みすすみ、学校の動物へのより深い興味や探究心もひろげていけるように、熊谷さとしさんの漫画をたくさん入れました。
この本を読んで、ひとりでも多くの子どもたちが、学校の動物たちとなかよくなり、そして、動物ハカセになってくれるといいなぁ、と思っています。(中川美穂子)